AIで糖尿病患者に適した治療薬を選択へ

札幌医科大学と富士通、富士通北陸システムズ

2019/02/13 14:30
近藤 寿成=スプール

 札幌医科大学と富士通、富士通北陸システムズは、臨床情報データのAI活用に向けた共同研究開発として、2019年2月から糖尿病治療における経口血糖降下薬の処方最適化に関するAI学習モデルの構築に着手する。

今回の共同研究開発の全体像
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 今回の共同研究開発は、糖尿病患者への投薬効果をAIが予測する診療支援が目的。糖尿病の一般的な合併症予防の目標値であるHbA1c値7.0%未満になるように、電子カルテシステムや診療DWH(Data WareHouse)などに蓄積された患者の検査値や、糖尿病治療薬の一種である経口血糖降下薬の処方情報に機械学習を用い、治療効果を予測する技術の開発を目指す。

 検証のために、札幌医科大学附属病院を受診している糖尿病患者約5000人の診療記録や検査結果、処方情報などが格納された診療DWHやBI(Business Intelligence)ツールから、個人情報を削除した形式で抽出して入力用データセットを作成する。これを入力情報として機械学習を行い、治療効果を予測する学習モデルを構築し、性能を表す曲線下面積(AUC)値や正解率(Accuracy)、再現率などを評価するとともに、経口血糖降下薬の処方の最適化に貢献できることを検証する。

 札幌医科大学附属病院の臨床医や、人工知能エンジニアを中心とした研究グループの臨床知見、データセットの成型技術、AI技術を基に実施する。高精度なデータセットの成型技術とAI技術による学習モデルを開発することで、処方情報や検査情報に内在している臨床医の知見が顕在化される。これにより、インスリン製剤を必要としない患者に最適な経口血糖降下薬を選定するといった、患者個人に適した治療薬の選択が期待される。

 糖尿病は、血糖値を継続的に正常範囲にコントロールすることが必要で、食事療法や運動療法といった一般療法に加えて、経口血糖降下薬やインスリン製剤などを用いる薬物療法を適切に実施することが重要になる。しかし長期の治療において、合併症の併発などで病態も複雑になるため、治療薬の選定や組み合わせ、副作用などを考慮した経口血糖降下薬の決定方法が確立していない状況にあるという。

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