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三菱地所、「新水素エネルギー」ベンチャーに出資

2022年頃には、既存インフラとの連携目指す

2019/02/12 17:12
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 三菱地所は1月25日、「新水素エネルギー」を研究開発するベンチャー企業、クリーンプラネット(東京都港区)が実施した第三者割当増資を引き受けた。1月28日に発表した。これによりクリーンプラネットの資本金は約8億円となった。

 クリーンプラネットが「新水素エネルギー」と呼ぶ技術は、微小な金属粒子に水素を吸蔵させ一定の条件下で刺激を加えることで、投入熱量を上回るエネルギーを放出する反応システムを指す。この際の放熱量は、通常の燃焼反応(化学反応)と比べて、水素1g当たり数桁以上も大きくなるとの報告が相次いでいる。現在の物理理論では説明しきれないものの、何らかの核変換(元素変換)が起きていることが推察され、研究者の間では、「凝縮系核反応」「金属水素間新規熱反応」などとも呼ばれる。

「新水素エネルギー」の仕組みイメージ
(出所 : NEDO「エネルギー・環境新技術先導プログラム 2017」)
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 三菱地所は、SDGs(持続可能な開発目標)を推進する上で、CO2排出削減に取り組んでおり、「クリーンプラネットが研究開発を進めている安価で環境負荷の少ない新水素エネルギー技術は非常に可能性がある」と評価している。同社では、これまで省エネ性能の高い建物の開発・運営や地域冷暖房事業により、低炭素な街づくりに取り組んできたが、今後は、「新エネルギーの活用についても積極的に検討する」としている。

 クリーンプラネットは2012年9月に設立され、この分野で実績のある北海道大学や東北大学、大阪大学などの研究者を支援してきた。こうした研究支援を通じて、新水素エネルギーを安定的に取り出すための心臓部となる金属メゾ触媒(反応パーツ)などを見出し、大学から権利を買い取る形で、国内のほか海外4カ国で特許を取得している。

 同社では、相対的にコストの安いニッケルと銅、軽水素を主体にした反応系での実用化を目指している。今後、数年内には、熱電素子と組み合わせた100W程度の発電モジュールのほか、既存の蒸気ボイラーを前提にした大型の発熱デバイスなどのデモ機を完成させ、2022年頃には国内外のエネルギーインフラとの連携を目指している。

 なお、「新水素エネルギー」に関しては、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、2015~2017年度に「金属水素間新規熱反応の現象解析と制御技術」として発熱量などを検証し、「化学反応を少なくとも1桁以上、上回る異常熱」を確認している。その際の研究委託先は、テクノバ、日産自動車、九州大学、東北大学だった。

 将来的に「新水素エネルギー」が実用化された場合、太陽光や風力発電の余剰電力を使い水電解で製造した水素(軽水素)を燃料に、CO2を排出しない電力を効率的に生産できる可能性がある。化学反応である燃料電池では、水電解を含めた全体システムでは投入電力が目減りするのに対し、核反応である新水素エネルギーシステムの場合、投入量を大幅に上回る電力を取り出せる可能性がある。

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