発電スーツ試作品
(出所:理化学研究所)
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 理化学研究所(理研)とAOKI、東レ、東京大学発のベンチャー企業Xenoma(東京都大田区)は1月28日、フレキシブルな有機太陽電池を紳士服の上着に貼り付けた「発電スーツ」を試作したと発表した。

 衣服に電子機能を付与してさまざまな情報を取得し活用する「スマートアパレル」の分野では、着るだけで脈拍や筋電などの生体情報をモニタリングする服などが実用化され、医療やフィットネスの分野での用途が拡大している。しかし、多くのデバイスで用いられる蓄電池ではたびたび充電が必要となり、使い勝手を損なう要因となっていた。

 理研では、これまでにウエアラブルデバイス用の電源としてフレキシブルな太陽電池を開発してきた。エネルギー変換効率を実用化のベンチマークとされる10%まで改善し、さらに耐環境安定性を向上した結果、耐水性、大気安定性、耐熱性についても実用レベルの性能を実現したという。

 今回試作した発電スーツは、左右に5個ずつ合計10個の太陽電池モジュールをスーツ背面に装着した。1つのモジュールは疑似太陽光下で最大28mWの発電が可能で、最大280mWの発電量に相当する。厚さ約15μmのフレキシブル有機太陽電池を紳士服の製造工程で壊さずに記事に実装することで、布地の風合いを損なわないデザイン性と機能性を両立した。

 理研はフレキシブル有機太陽電池に関する統合的知見、AOKIは機能性とデザイン性を両立する紳士服の製造技術、東レは大気安定性に優れる有機半導体材料とデバイス製造技術、Xenomaは布地の上に配線を有機太陽電池と接続し実装する技術を担当した。

 今回開発した技術は、紳士服の上着に限らず、帽子やスカーフなどの小物類、さらにはカーテンやテント、風呂敷など、アパレル分野を超えたさまざまな「発電するデバイス」に応用できる。また、スマートフォンへの充電、連続計測用ウエアラブルセンサーの電源、災害時の補助電源など、多方面の用途が期待できるとしている。