記者会見の様子
(出所:日経BP)

 横浜市は2月6日、東北地方の12市町村との間で、再生可能エネルギーの活用に関する協定を締結した。

 東北地方の12市町村は、青森県の横浜町、岩手県の久慈市、二戸市、葛巻町、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町、福島県の会津若松市、郡山市となっている。この12自治体は、これまでスマートコミュニティや再エネ活用などで横浜市と交流してきたという。

 首都圏の大都市は、電力需要が多いものの、比較的安価で活用できる土地が少ないなど、大規模な再エネの開発に限りがある。一方、地方の自治体は、相対的に未利用の土地が多く、大規模な再エネを開発しやすい。

 そこで、再エネの活用を増やしたい需要家の多い大都市の地方自治体と、地方の自治体が提携し、地方の再エネ発電所による電力を積極的に大都市圏で活用し、限られた再エネ資源を囲い込む動きが相次いでいる。横浜市と12市町村の協定もその一環となる。

 横浜市によると、こうした自治体間の連携のなかでも、今回の協定は国内最大規模になるという。これまでの例としては、東京都世田谷区と青森県弘前市(関連ニュース)、東京都港区と福島県白河市・山形県庄内町などがある(関連ニュース)。

 横浜市は、2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにする計画を掲げている。この実現に向けた活動の中心の一つが、再エネの活用となる。しかし、市内に大規模な再エネを開発できる土地は少なく、横浜市の現在の年間消費電力である約160億kWhを、市内で稼働中・設置予定の再エネ発電設備だけで発電することは難しい。

 そこで、今回協定を締結した12市町村などに立地している再エネ発電所から、横浜市内の需要家が、再エネを調達しやすくする。

 これら市町村の中には、自治体が主導して地域新電力を設立し、エネルギーの地産地消を目指している自治体もあるが、地域の電力需要に対して、開発中も含めた再エネの規模が大幅に大きく、再エネ供給に余裕がある。

 例えば、今回、協定を締結した横浜町は、風力の開発が盛んで、すでに町内で22基が稼働している。このうち14基(合計32.2MW)は、町営の発電事業である。4月には、さらに企業による12基(合計43.2MW)が着工予定で、これらが稼働する2年後には、町内の年間消費電力の約10倍もの再エネ電力が町内で見込まれている。

 横浜市の狙いは、こうした地産地消に必要な量をはるかに超えた分の再エネ電力を、横浜市内の企業や住宅などが調達しやすくすることにある。

 最も早い調達例となりそうなのが、この横浜町の町営風力発電所による電力としている。早ければ年内にも活用例が出てくるという。

 横浜町営の風力は現在、新電力に売電している。横浜市内の企業や住宅が、この新電力からの再エネの調達に切り替えれば、すぐにでも実現する体制が整っている。

 このほかの自治体では、こうした環境が整っていないため、今後、それぞれの自治体や発電所に合わせ、最適な仕組みを構築していく。

 12自治体にとって、再エネの売電先として、横浜市の需要家が多くなることは、企業や研究機関などの誘致に有利になる利点もある。地域の再エネ利用で経験を積んだ地方の人材に、企業などからの求人が増えることも期待している。

 例えば、再エネ利用を増やしたい横浜市の企業が、東北地方に新たな拠点を設ける場合、横浜市と提携した自治体に進出することで、スムーズに再エネ比率を高められるなどである。

 横浜市にある国内企業には、米アップルなど再エネ比率の高さを調達先などにも求める外資系企業と取引しているケースもある。こうした国内企業にとって、再エネ電力の利用率を高めることは重要な経営課題となっている。