硫化銅/硫化カドミウムヘテロ構造ナノ粒子の透過型電子顕微鏡画像
(出所:京都大学)
[画像のクリックで拡大表示]
太陽光スペクトル(紫)、硫化銅ナノ粒子(黒)、硫化カドミウム/硫化銅ヘテロ構造ナノ粒子(赤)の拡散反射スペクトル
(出所:京都大学)
[画像のクリックで拡大表示]

 京都大学、豊田工業大学、関西学院大学、立命館大学、物質・材料研究機構らの研究グループは2月4日、波長1100nmで外部量子効率3.8%の高効率な赤外応答光触媒を合成したと発表した。また、この光触媒を利用することで、地表に到達する太陽光の最大波長である1500nmの光を用いて水素を生成することに成功した。これは、赤外域の太陽光のほぼすべてを高い効率でエネルギー変換できることを示すという。

 局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)を利用した光電変換は、LSPRが紫外から赤外域まで幅広い波長で制御できる特性を持つことから、赤外光を高効率でエネルギー変換できるキーテクノロジーとして期待される。今回、赤外域にLSPRを示す硫化銅(Cu7S4)ナノ粒子と硫化カドミウムナノ粒子を連結させたヘテロ構造ナノ粒子を合成し、その水素生成光触媒活性を評価した。

 合成したヘテロ構造ナノ粒子の赤外光照射下での水素生成における光触媒活性をガスクロマトグラフィーにより測定した。その結果、白金を担持した硫化銅/硫化カドミウムヘテロ構造ナノ粒子が、波長1100nmでの外部量子効率3.8%の高効率で赤外光から水素を生成できる光触媒であることを発見した。これは現在まで報告された赤外応答光触媒の中で最も高い数値という。

 さらに、プラズモン誘起電荷分離を、時間分解過渡吸収スペクトル測定で観測した結果、LSPRの励起によって生じた熱電子が硫化カドミウム側に移動していることが分かった。また、約273μ秒という長い電荷分離寿命を示した。 従来の一般的なプラズモン誘起電荷分離と比べて極めて長い寿命を持ち、これが赤外光の高効率エネルギー変換に大きく貢献していると考えられる。

 今回の発見は、赤外応答光触媒や赤外光電変換材料といった、赤外域の光を用いた新しい光エネルギー変換材料の開発につながると期待される。研究成果は国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版で2018年12月18日公開された。

» 本記事の英訳はこちら