1. はじめに

 ウエアラブル関連の展示会「ウェアラブルEXPO」(1月18~20日、東京ビックサイト)で筆者が注目した展示内容について紹介する。今回は、大気下での成膜が可能で、耐マイグレーション性を持つ、日油のスクリーン印刷用銅ペーストとその応用例を紹介する。既存の銅箔を用いたリジット基板やフレキシブル基板の市場を塗り替える可能性を秘めた新素材である。

2. 銅ペーストの特徴

 この銅ペーストは、化学メーカーである日油が持つ金属酸化防止技術と機能材料の配合技術を駆使し、銅粒子の表面改質法と硬化時の銅の酸化進行抑制組成を新たに開発することで実現した。開発されたスクリーン印刷用銅ペーストは、銀ペーストが利用される各用途に適応できる。特徴を列記する。

・高導電率の導電膜形成
・大気下での低温焼成
・各種基板への高密着性
・精細配線を印刷可能
・高い耐酸化性とマイグレーション性

 用途は、タッチパネル、アンテナ、センサー、メンブレンスイッチ、自動車・医療機器の内部配線など。特性と耐久性を表1に示す。粘度120Pa・s(5rpm)、体積抵抗率20~30 μΩ・cm、硬度2Hである。なお、顧客の要望に合わせてインク特性を調整することが可能という。

表1 一般特性と耐久性
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 表2に、銅ペーストの硬化方法と導電膜の特性を示す。銅ペーストは通常のオーブンでの加温硬化のほか、遠赤外光(IR)や超近赤外(NIR)を用いた短時間硬化による導電膜形成が可能である。銅ペーストは、120℃の硬化成膜により、一般的に使用されている銀ペーストと同じレベルの体積抵抗率を得ることができる。さらに、30分程度の硬化成膜により導電性と密着性が高まる。

表2 銅ペースト硬化方法と導電膜の特性
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 図1に、NIRを用いた銅ペーストの硬化を示す。用いた装置は米Adphos社製(代理店:松本金属工業)の「NIR 126-250」である。「adphos NIR」は、加熱硬化において優れた特徴を持つ。フィルム基材は、「adphons NIR」のエネルギーをほとんど透過する。従って、選択的にインクを加熱でき、フィルム基材への熱ダメージを最小化できる。

図1 米Adphos社のNIR硬化装置を用いた銅ペーストの硬化

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