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富士通、ブロックチェーン技術で「節電量」を融通

デマンドレスポンスの成功率を4割向上

2019/01/30 14:27
工藤宗介=技術ライター
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 富士通と富士通研究所(川崎市)は、ブロックチェーン技術を応用し、工場や店舗などの電力需要家の間で不足・余剰電力を取引できるシステムを開発したと発表した。電力会社と需要家が協力して電力使用量を調整するデマンドレスポンス(DR:需要応答)の成功率を向上できるという。

 DRでは、電力会社からの要請を元に、アグリゲーターが需要家ごとに節電量を割り当て、節電量に応じた報酬を配分している。しかし、需要家によっては自家発電機を起動する際の発電量の不足や消費電力量の突発的な増加などにより、割り当てられた節電量を達成できない場合があり、報酬が受け取れない事案も発生しているという。

 従来のDRでは、需要者間でDRの節電量を融通しあう仕組みが導入されていなかった。今回開発したシステムでは、「売り」要求から融通可能な電力の総和を求め、「買い」要求の中から買える分だけ承認処理を確定する技術により、短時間で節電の可否を回答できるようにした。また、回答後に確定済みの要求に対して「売り」要求を無駄なく配分して取引を最適化する技術も開発した。

従来のデマンドレスポンスと需要家間での電力融通を組み合わせたデマンドレスポンス
(出所:富士通)
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 この2つのフェーズによる電力融通取引技術を適用した取引システムをブロックチェーン上に構築したという。これらの取引を記録することで電力融通の取引結果の透明性を保証し、確定した取引結果(電力の節電量)に基づく報酬を正確に配分できる。なお、電力融通取引技術は特許出願済み。

 電力卸取引を行うエナリスの協力のもと、2018年の夏季と冬季の2期分において、需要家20拠点分の消費電力の実績ログを使用してシミュレーションを実施した結果、従来の手法と比べてDRの成功率が最大で約4割向上することを確認したという。今後、実環境での検証を進めて2019年度以降の実用化を目指す。

今回開発した電力融通取引技術
(出所:富士通)
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