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独BASF、再エネによる生産プロセスに転換へ、4プロジェクト公表

2019/01/22 08:30
工藤宗介=技術ライター
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化学反応に必要な熱を再エネ由来に置き換える
(出所:BASF)
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 独BASFは、化石燃料から再生可能エネルギーに置き換えることでCO2排出量を削減する新しい生産プロセスの開発に取り組んでいる。同社本社で1月9日に開催したリサーチプレスカンファレンスにおいて、同プロセスに向けた4つの研究開発プロジェクトを発表した。

 同社は2018年に新たな企業戦略を発表し、「2030年までにCO2排出量を増やすことなく成長すること」を主要な目標として掲げた。

 化学反応にはエネルギーが必要なため、化学業界では化石燃料がCO2の最大排出源となっている。ナフサをオレフィンと芳香族化合物に分解する工程(スチームクラッカー)では、温度を850度まで上げる必要があるが、そのエネルギーを天然ガスから再エネ由来電力に変えればCO2排出量を最大90%削減できるという。

 そこで同社は、今後5年で再エネ由来電力を利用できるスチームクラッカー用の電熱コンセプトの開発を目指す。どの金属材料が高い電流に耐えられるか、高温の化学反応炉に適しているかを見極めるため、材料試験も必要になるという。

 また、化学業界では、反応物質として多量の水素を使用しており、水素の生成でも多量のCO2を放出している。そこで同社は、天然ガスを水素と炭素に直接分解する新しいプロセスを開発している。このプロセスの結果、得られる固体炭素は、鉄鋼やアルミニウムの生産などに使用できる可能性もある。この熱分解プロセスのエネルギーに再エネが使えれば、CO2を排出せず水素を産業規模で生成できるという。

 メタンのドライリフォーミング(DRM)のプロセスは、スチームクラッカーで現在使われている製造方法から排出される大量のCO2を大幅に削減できるという。同社が英Lindeと共同で提供する新しい高性能触媒を用いることで、同プロセスで合成ガスを作り出しジメチルエーテルを経てオレフィンに転換できるという。この新しい触媒を用いたプロセスは、スチームクラッカーの電気加熱を補完するもの、あるいは取って代わるものになる可能性があるとしている。

 さらに同社は、CO2を化学原料として使用する新たなアプローチとして、エチレンとCO2からアクリル酸ナトリウムを生成する触媒サイクルの開発に取り組んでいる。アクリル酸ナトリウムは、おむつや衛生用品に広く使われる高吸水性樹脂の重要な出発原料となる。ミニプラントの実験室規模で実行できることを実証した。現在のプロピレンベースの高吸水性樹脂の製造方法と比べて、より大規模のプロセスでも安定しエネルギー的にも有利であると証明できれば、CO2が化学燃料の約30%を代替できるという。

 今回カンファレンスで紹介した4つのプロジェクトは、同社の研究活動のなかでユニークなトピックを代表するものという。同社の2017年の研究開発費は18億8800万ユーロに達した。また、同社の研究パイプラインには約3000件のプロジェクトがあり、世界各地の1万1000人以上の社員が取り組んでいるという。

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