NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とダブル技研、東京都立産業技術高等専門学校は、人の手や指の構造を模倣することで、さまざまな形や大きさの物体を把持できる3種類のロボットハンドを開発した(ニュースリリース)。感圧センサーなどのセンサーは不要とし、ロボットハンドの制御を単純化できる。開発したのは3タイプ。手の構造に近づけた5指のロボットハンド「F-hand」、産業用途でニーズの高い3本指のロボットハンド「New D-hand」、軸受けなどの機械要素を無くして、紙から構成された「オリガミハンド」である。

 開発した3タイプに共通するのが、人の手や指の構造から着想を得た「協調リンク機構」である。協調リンク機構は、関節が機械リンクで結合されており、把持する物体の大きさや形状によって、電子的な制御に頼らず自動的にバランスをとる機構である。これにより、複雑な制御を無くすことができる。間接ごとにアクチュエーターは必要なく、1つのアクチュエーターで動作する。基礎研究は東京都立産業技術高等専門学校、実用化のための研究開発をダブル技研がそれぞれ担当した。

 F-handは、腱や関節の構造など、できるだけ忠実に手の構造に近づけたロボットハンドである。様々な試験や共同研究先に提供する「汎用試作機」と、ロボットハンドの性能向上や新技術を開発するための先行試作である「研究開発実証モデル」がある。汎用試作機は外装と一体構造である。研究開発実証モデルは、東京都立産業技高等専門学校が設計・試作した樹脂製モデルと、ダブル技研が開発した金属製モデルがある。発表会では金属製モデルのF-handを用いて、ペットボトルやりんご、みかん、ペン、シュークリーム、イチゴなど形状の違う物をつかむデモを実施した(図1)。

金属モデルの「F-hand」
図1 人の手の構造を忠実に再現することで、単純な制御で大きさの違う対象をつかめる。”つかむ”動作の制御のためには、1つのアクチュエータの力の大きさを決めるだけでよい。発表会では画像認識により対象を認識し、ロボットアームの先端のロボットハンドでさまざまな対象をつかむデモを見せた。
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 F-handには協調リンクの他に、「指差しなじみ機構」が搭載されている。人が人差し指や中指を利用して物をつまむ際、指先が回転することで、かかる力が大きいほど、2つの指がつかんだ物に触れる面積が広くなる。こうすることで効率的に物体を把持できる。指先なじみ機構は、その構造を模倣した機構である(図2)。

図2 人の指の構造を再現
(発表会の資料より)
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