太陽光発電・蓄電池・水電解の統合システム
(出所:NIMS、東京大学、広島大学)
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 物質・材料研究機構(NIMS)は、東京大学、広島大学と共同で、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた水素製造システムの技術経済性を評価した。その結果、放電特性は遅いが安価な蓄電池を援用することで、1m3あたり17~27円という、国際的にも価格競争力の高い水素製造が国内でも実現できるとした。2018年12月14日に発表した。

 再生可能エネルギーは、固定価格買取制度(FIT)の導入により国内でも導入が加速する一方で、2014年に九州電力、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力の各社が再エネの接続保留を発表、2018年10月には九州電力管内で太陽光発電の出力制御が実施されるなど、不安定な出力や低い設備利用率が課題となっている。

 再エネの出力変動対策としては、再エネ由来電力から水素を製造・貯蔵・利用する「P2G(Power to Gas)システム」が検討されている。しかし、現在市場に存在する技術の組み合わせや改良を想定した検討では、現在の技術レベルで成立するシステムを見出すことは困難だった。

 共同研究では、将来のあるべき姿や今後の性能・特性の向上を織り込んだ技術レベルを想定し、システムの最適解を網羅的に探索した。各分野およびシステム工学の研究家により各技術分野の進展を踏まえて理想的な姿を検討した。極値探索法を用いて誤差0.1%で最適近似解を求めることで、無数に存在する各技術の組み合わせ方に関する解析が可能になったという。

 蓄電池がない場合は、水電解装置の容量は太陽光発電の容量に合わせた大きさとなり、夜間や日照のよくないときは稼働停止したり、部分的な負荷で運用することになる。太陽光発電の年間稼働率は約12%であるため、水電解装置の稼働率も約12%になる。

 一方、十分な容量の蓄電池を導入した場合、太陽光発電による電気を充放電して一日の電力を平準化することで、水電解を小容量化して稼働率を100%にできる。水電解の小容量化による設備コスト削減と稼働率を高めることで得られる便益が、蓄電池の設備投資を上回れば、太陽光発電・蓄電池・水電解の統合システムが成立するという。

 今後、電力網への接続保留や大規模な出力制御により事業性が低くなった太陽光発電などを具体的対象として、今回提案した統合システムのプロトタイプとしての成立可能性を検討する。同時に、定置用の蓄電技術として将来に求められる特性レベルや、国内の再エネ水素製造を経済的に成立させるための太陽光発電や水電解装置のコスト目標などを精査し、研究開発目標としてフィードバックする計画。