ソニーの現行のラミネート型電池
スマホやタブレット向けに量産している
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 ソニーは、2020年の実用化に向け、ポストLiイオン電池の開発を進めていることを明らかにした。

 電極の材料に硫黄(S)化合物を活用することで、体積当たりのエネルギー密度を現行の700Wh/Lの4割増しとなる1000Wh/Lに高める。同体積の電池で単純比較すれば、電池寿命が現行の1.4倍に伸びる。まずはスマートフォン(スマホ)向けのラミネート型電池として実用化するが、その後はほかの用途にも展開する。高容量を武器に、携帯機器やロボットなど様々な機器での利用を目指す。

 ソニーはLiイオン2次電池の実用化をリードした企業。ポストLiイオン電池の実用化を急ぐことで、スマホの高機能化やロボットなど新たな需要に対応する狙いだ。

 ソニーが2020年の実用化に向けて開発に取り組むのは、リチウム硫黄(Li-S)電池とマグネシウム硫黄(Mg-S)電池だ。Li-S電池は、正極に硫黄(S)化合物を、負極に金属リチウム(Li)などを使う電池。正極のSは電圧が低いものの、電極の重さあたりの電流容量の理論値が極めて高く、1000Wh/Lを超える電池セルを実現できる可能性がある。

 負極に用いる金属Liは「夢の材料」とも呼ばれるもので、これまで数々の技術検討や開発品があったものの、難易度の高さから2次電池での活用はほとんど無い状況だ。金属Liを使う際には,充放電を繰り返すうちに負極に枝状のLi析出物である樹枝状結晶(デンドライト)が発生するという課題がある。このデンドライトが正極と負極を絶縁するセパレーターを突き破って短絡を起こすと、発熱や発火につながる恐れがあり、いまだ課題解決に至っていない。

 そんな難易度の極めて高い電池だが、ソニーは「2020年頃の1000Wh/Lというエネルギー密度を実現する上で、有望な技術」(ソニー)と認識しているという。

 Sを電極材料に使う電池にはソニー以外のメーカーも積極的で、今後大手メーカーの間で実用化を競うことになりそうだ(関連する特集記事を、日経エレクトロニクス2016年1月号に掲載予定)。