自動車部品メーカーが生き残るためには、フロントローディング*1で取り扱う部品の企画・開発を進めなければならない─。「技術者塾」で「自動車部品メーカー反転攻勢への『脱下請け』戦略」の講座を持つ経営共創基盤 ものづくり戦略カンパニー マネジャーの野口宏太氏はこう語る。フロントローディング成功の鍵を握るのは、経営者の意識改革と、会社全体の連携だ。

*1 フロントローディング 一般に、従来は製品開発プロセスの後工程で行われていた作業を、初期段階で前倒しで進めること。

─自動車部品メーカーは今、自動車業界の中でどのようなポジションにあると言えるでしょうか。

野口氏:自動車部品メーカーの存在や発言力が増しています。ここ最近、その傾向は格段に大きくなっています。というのも自動車業界が今後、ワールドワイドで電動化や自動運転化を目指すという方向性が明らかだからです。特にトヨタ自動車が2017年12月に、世界で販売する車両の50%以上を「電動車両」にすると宣言したインパクトは大きいと思います*2

*2 トヨタ自動車社長の豊田章男氏は2017年12月13日、2030年までに世界で販売する車両の50%以上を、エンジン以外に電力で動くモーターを搭載した「電動車両」にするという方針を明らかにした。2030年までに世界で販売するハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を合計で約450万台/年に、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を約100万台/年にする。電動車両の年間販売台数は2030年までに約550万台までに引き上げるとしており、これはトヨタの年間の世界販売台数の50%に当たる。

 電動車両や自動運転の性能は、部品性能の影響を大きく受けるので、自動車メーカーに対する自動車部品メーカーの発言力は今後、さらに高まるでしょう。

 ただし力を持つのは、ドイツRobert Bosch社やデンソーのような大手1次部品メーカー(ティア1)です。自動車メーカーは部品単体ではなく、トランスミッションやサスペンション、空調といったシステム単位での納入を求めるようになっています。自動運転であればデータを収集するセンサーや、ブレーキやステアリングといったアクチュエーターなどを組み合わせた形で納品する。こうしたシステムを製造するのが大手ティア1の役割です。

 こうなると自動車の主要部分を開発・生産していると言ってもよいでしょう。ティア1よりも元請けに近いという意味で、「ティア0.5」と呼ぶ向きがあるくらいです。自動車メーカーはティア0.5に、システムの設計などによる性能向上の提案を求めますから、現時点でも強いティア0.5の発言力は今後、さらに高まるでしょう。

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