水晶発振器を代替できるMEMS(微小電子機械システム)発振器の最大手が、2016年に出荷を始めた新製品の技術の詳細を明らかにした。独自の周波数安定化技術によって「水晶発振器はもう要らなくなる」というほどの精度を誇る。これまで水晶発振器にはかなわないとみられてきた様々な仕様について、実測データから水晶発振器よりも優れていることを示した。 (本誌)

(写真:Getty Images)

 75年以上にわたってppmレベルの周波数安定性が必要な電子機器に使われてきた水晶発振器。ここへ来て、ICと同様の製造技術で量産するMEMS(微小電子機械システム)発振器が、性能・寸法の優位性とスケーラビリティー(量産の拡張性)の高さから水晶発振器を置き換え始めている。水晶発振器が抱える多くの欠点もない(図1)。MEMS発振器は、今後数十年においてタイミングデバイスの有力な選択肢となり得る。

図1 水晶発振器を上回る仕様の発振器を開発
開発したMEMS発振器と、既存の水晶発振器を比較した。
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 MEMS発振器は2006年に初めて市場に登場し、外部からの振動や温度変化に伴う周波数の変動がほとんどないという特徴を備えている。その後、温度補償やPLL(Phase Locked Loop)の技術進化で低ジッター化・低位相ノイズ化が進んだ。

 我々が2016年に発売したMEMS発振器は、新しい基盤技術を使い、通信、ストレージ、サーバー、産業機器、自動車、航空宇宙、軍事などで求められる信頼性と性能を実現した注1)

注1)差動発振器、VCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)、我々が「Super-TCXO」と呼ぶ高精度のTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)がある。いずれもジッターや位相ノイズが低く、外部からの振動や衝撃、空気の流れによる温度変化の影響も受けにくい。しかもパッケージ寸法が小さい。

 本稿では、まずはMEMS発振器の水晶発振器に対する利点を解説する。衝撃や振動に対して高い周波数安定性があること、周波数が急変する「アクティビティディップ」が生じないことなどである。その上で、我々が最新のMEMS発振器で実現した特徴を詳説する。急激な温度変化時の周波数安定性を高め、ジッターや位相ノイズをさらに改善している。

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