中国政府が海外半導体メーカーやその事業、技術を次々と買収している。しかし、買われる側の企業や行政の反発は少なくない。そこで中国側は“攻め方”を変えてきた。会社でなく技術を買って圧倒的な資金力で量産に持ち込む、撤退事業を買い取る戦略などだ。

(写真:Getty Images)
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 中国政府がICの国産化を一気に進めている。2014年6月に発布した「国家集成電路産業発展推進綱要」に基づき2020年までに半導体企業に投じる予算は実に5000億人民元(1人民元=15円として7.5兆円)以上注1)、1)。目指すは、2030年にIC産業の各業界でトップグループに立つ中国企業を生み出すことだ(表1)。

注1)2015年12月号の本誌記事では約10兆円と記した。1人民元は19円前後だったためだ。しかし2016年から人民元の価値がほぼ一貫して下がった。これは中国の金融財政当局が望んだため。中国は変動相場制ではなく管理フロート制(当局による変動制限)を採用している。なお人民元安の利点は、輸出競争力の回復。人件費や部材費を国際的に引き下げられるからだ。人民元安の欠点は輸入物価の上昇。当局は適時の金融引き締めといったインフレ抑制策を打たなければならない。
表1 中国のIC産業の国家目標
「国家集成電路産業発展推進綱要」および工業和信息化部の資料による。
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 中国政府は、国家資本主義注2)に基づき産業振興に湯水のごとく金を使える。使途となった企業は、固定費をほとんど負担しない。それが液晶パネル産業では成果を生んだ。象徴は、中国Tianma Micro-electronics(天馬)社の中小型品だ。ジャパンディスプレイやシャープの製品に比べて「品質で遜色ない上に格段に安い」(台湾のスマートフォンブランド企業)。日本製品なら22~23米ドルのところが、Tianma社製品ならたった12~13米ドルで済む。同社は、台湾AU Optronics(友達)社やNEC出身者を迎えて品質問題を解決した。

注2)国家が産業や経済の発展に対して積極的な介入を行ったり、主導的な役割を果たしたりする体制。

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