携帯電話/スマートフォン向け半導体業界の巨人、米Qualcomm社。米Broadcom社から敵対的買収を仕掛けられ、米Apple社からは特許契約を巡り提訴されている。自動運転車やセンサー機器などの通信基盤となる5G(第5世代移動通信システム)時代に Qualcomm社の事業モデルは通用するのか。特許活用コンサルタントが解説する。(本誌)

 移動通信分野の半導体市場で圧倒的な強さを誇る米Qualcomm社が強く揺さぶられている。競合する米Broadcom社から敵対的買収を仕掛けられているのだ。提示された買収金額は、Qualcomm社の普通株式1株当たり82米ドル。当初の70米ドルから引き上げた。全体では約1460億米ドル相当にもなる。

 Qualcomm社の取締役会はこれを全会一致で一蹴したが、Broadcom社は取締役をそっくり入れ替えようと画策している。自社が推薦する新たな11人の取締役候補を2018年3月に予定されているQualcomm社の株式総会で承認させようと株主へ働きかけ始めた。Broadcom社は本気である。

 一方でQualcomm社は同社の最大顧客である米Apple社から、特許ライセンスと半導体(移動通信用ベースバンドチップセット)の取引が不当であるとして2017年に提訴された。Apple社の提訴は、Broadcom社による買収提案の引き金の1つとなっている。Qualcomm社は、業績面では2017年10~12月期に赤字へ転落。Apple社や同社の端末製造受託会社との訴訟で特許ロイヤルティー支払いの未納が発生していることが影響している。それでも韓国Samsung Electronics社が端末価格に応じた特許使用料を2023年まで支払う長期契約を更新するとともに、5G(第5世代移動通信システム)に向けた戦略的提携関係を結んだ。Broadcom社との株主争奪戦で優位に立つ構えだ。

 Qualcomm社を巡る一連の争いは互いに関連しており、IoT(Internet of Things)やモビリティーのサービスを支える5Gの覇権争いでもある注1)

注1)移動通信システムの標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)は、2017年12月21日、5G初となる標準仕様NSA 5G NRの初版を策定した。これは、5Gの要求条件を満たすために新たに規定された無線方式である。この標準策定にはQualcomm社、スウェーデンEricsson社はじめ世界の移動通信関連企業30社が集い、日本からは、富士通、NEC、NTTドコモ、ソニーモバイルコミュニケーションズが参加している。同日、Qualcomm社とEricsson社は、その5G標準仕様に準拠した相互接続試験をいち早く実施して、基地局設備と携帯端末の動作確認を行った。

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