2016年10月上旬に開催された「CEATEC JAPAN 2016」。民生用エレクトロニクス機器中心の展示会との印象を改め、「IoT(Internet of Things)」と「CPS(Cyber Physical System)」の展示会に生まれ変わると宣言した。実際、出展社数は前年比22.0%増の648社、入場者数は同9.1%増の14万5180人と久々の活況に沸いた。その出展内容はどうだったのか。数々の展示から浮かび上がる、日本のIoT関連技術と、その事業化の最前線を探った。

 1つのモーターで3軸のブレを抑制できるアクチュエーター、曲面に対応できるタッチセンサー、従来品の2万分の1まで消費電力を抑えた水素検知センサー、肌のシミを隠すメイクアップシート…。さまざまな技術が1つのブースに並び、一見すると、それぞれ別の企業の展示品のようだ。しかし、これらは、ある1つの企業の展示である。パナソニックだ。2015年にブースの大半を家電製品などの展示に割いた同社は、今年のCEATECではブースの半分を使ってIoT関連の要素技術を紹介した。

 パナソニックのブースは、民生エレクトロニクス機器の代わりにIoT・CPSに焦点を絞った展示会へ様変わりしたCEATECを象徴する光景といえる(図1)。今回のCEATECでは、多くの企業が自社が持つIoTの要素技術をいくつも展示した。その大きな目的は、協業者の獲得である。自社の技術を活用するアイデアを、他社や他業界に広く求めようというわけだ。「当弊社の技術を、他社・他業種の協業者のアイデアと掛け合わせることで、新しい事業やソリューションを創出したい」(パナソニックの説明員)。

図1 要素技術を見せ、外から新規事業のアイデアを募る
「CEATEC JAPAN 2016」では、AIやロボットなどIoTの要素技術の展示が目立った。加えて、IoTではユーザーとなる金融、玩具、旅行といったITやエレクトロニクス以外の業界の企業も出展していた。
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 各社のオープンな姿勢は、IoTを活用した画期的なサービスを打ち出すには単独の企業の力だけでは難しいことの証である。各社が意識するのは、要素技術を持つエレクトロニクスやITの企業と、サービスの対象となる異分野の企業の連携だ。事実、今回のCEATECでは、従来は馴染みのなかった業界からも出展が相次いだ(図1、図2)。異分野側からも、要素技術を持つ企業と協力したい意図が見て取れる。

図2 三菱UFJフィナンシャル・グループが展示した接客ロボット
金融業界の三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめとして、玩具や旅行業界のようにこれまでCEATECと関係が薄かった業界からの出展が相次いだ。
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 IoTを活用したサービス例の展示もあった。各社が積極的に紹介したのが様々な使用例を想定したコミュニケーションロボットである。トヨタ自動車が2017年の全国発売を目指す民生用ロボットを発表したのを筆頭に、試作機やデモが相次いだ。ただし、いずれも手探りの感が強く、決定打となるロボットやサービスの姿が見つかるまではまだまだ試行錯誤が続きそうだ。

 以下では、CEATEC JAPAN 2016で注目を集めた展示や新しい動きなどを、分野ごとに解説していく。

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