2016年9月9日の夕方6時40分ごろ、和歌山県和歌山下津港を出港して三重県四日市市の四日市港に向かっていた回送中のケミカルタンカーの貨物タンクが爆発した。乗組員1人が死亡し、2人が重傷などを負った。死亡事故を招いたのは、ルールの不徹底とリスク軽視の安易な思い込みだった。

 事故を受けて国土交通省・運輸安全委員会が事故調査を開始し、2017年10月下旬に調査内容をまとめた船舶事故調査報告書(以下、報告書)を公開した1)。以下、同報告書を基に事故の詳細と原因を解説する。

 事故を起こしたのは、韓国KEOYOUNG SHIPPING社(以下、KEOYOUNG社)のオイルタンカー兼ケミカルタンカー「EIWA MARU 3」。総トン数740tの小型タンカーで、左舷、右舷それぞれに船首側から1〜4番までの計8つのタンクを備える。主に、日本、韓国、中国の間でオイルや化学薬品などを輸送していた。

 事故当日、同船には船長以下9人が乗船。10時25分ごろに和歌山下津港に入港した同船は、韓国で積み込んだ潤滑油の基材となる「ベースオイル」を同港で全量荷揚げした後、タンクが空の状態で四日市港へ向かうべく南進していた。事故はその途中で発生した(図1)*1

*1 ベースオイルは潤滑剤の基材となるパラフィン炭化水素の集合体。組成によって引火点は異なるが、積載していたベースオイルの引火点は164℃だった。なお、同ベースオイルは韓国の温山港で積み込んだ。その前に韓国・蔚山港でブチルアルコールを荷揚げしており、温山港へ向かう途中でタンクを洗浄している。

図1 爆発前の航行経路
和歌山下津港で積載していたベースオイルを全量荷揚げした後、三重県四日市港に向かって南進していた最中に爆発事故が起こった。
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