FPGAが狙う高性能コンピューターやデータセンター用サーバー機の市場で最大のライバルはGPUである。電力当たりの性能の高さがFPGAの武器だが、必ずしもこの点は既存のシステムでは明示されていない。性能を高めた最新のFPGA製品を活用して、GPUに対する優位性が高い実システムを開発していくことが必要だ。

 FPGAの将来を占う市場が、大規模データ処理の本丸とも言える高性能コンピューター(HPC)やデータセンター用サーバー機におけるアクセラレーターとしての用途だ(図1)。この市場で競合技術に対する優位性を示せれば、車載をはじめとする他の用途の裾野を広げる上でも追い風になる。

図1 “上流”と“下流”から市場を拡大
各種のコンピューターシステムをシステム当たりの価格と台数で分類した場合のイメージと、各システム区分でFPGAの利用が広がる可能性を示した。比較的低価格のFPGAはスマートフォンや車載用途に入り始めた。HPCやデータセンター市場で、ハイエンドFPGAをアクセラレーターとして利用する動きも始まりつつある。
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 FPGAの最大のライバルはGPUである(図2)。HPCのアクセラレーター市場は既にGPUが席巻しており、ディープニューラルネットワーク(DNN)の実行環境としてもFPGAは後塵を拝している。車載の画像認識システムなどでも、両者は競合関係にある。GPUに対してどこまで利点を打ち出せるかがFPGAの命運を大きく左右する。

図2 マイクロプロセッサーの性能を補う
FPGAは、科学技術計算やビッグデータ解析ではマイクロプロセッサーをはるかに上回る性能を発揮できるため、アクセラレーターとしての利用が始まっている。この用途で直接競合するのはGPUである。写真はIBM社のPower8を2個実装したサーバー機に、Edico Genome社製のアクセラレーターカード(Xilinx社の28nm世代FPGAを1個利用)を接続した例。この例では、マイクロプロセッサーだけの場合より50~60倍演算が速くなるとする。
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 現時点での最大の課題は価格の高さである。ミッドレンジ以上のFPGAの価格は1個100万円前後~数百万円と、GPUの数倍もする注1)。このハードルを超えられるかどうかは、FPGAメーカーと手を組んだマイクロプロセッサー陣営の戦略次第だろう。出荷数量が拡大すれば価格が下がるのは必然であり、市場拡大の勢いをつけられるかどうかは各社の販売戦略などにかかっている。

注1)FPGAメーカーなどは、演算内容によってはマイクロプロセッサー30~60個分の働きをすることから、FPGAの採用でデータセンターとしての機能を高めると同時に、データセンター全体のコストや消費電力を下げられるとアピールしている。

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