メーカーが取り組むのは2020年頃の実用化を目指す電池だけではない。2030年頃まで見据え、さらに高機能の次世代電池の研究開発も進む。国内外のメーカーの研究成果が発表された「第56回 電池討論会」(2015年11/11~11/13)では、全固体電池に関する報告がひときわ注目を集め、「ポストLiイオン電池」の有力候補であることが明らかになった。

 「第56回電池討論会では全固体電池の発表件数が増え、これまで見られなかったメーカーの取り組みも数多く登場してきた。ステージが1段上がったという印象だ」。全固体電池の研究開発に長年取り組んでいる大阪府立大学 大学院 工学研究科 教授の辰巳砂昌弘氏はこのように語る。

 電池の電解質に固体材料を用いる全固体電池は、従来の有機系電解液を用いる電池に比較して燃えにくいなど、安全性が高いとされている。このため世界中のメーカーや研究機関での開発が活発化しており、ベンチャー企業も数多く登場してきた。特に、EV(電気自動車)など電動車両に応用できれば、安全性の高い駆動源として普及するという期待が大きい。

 ただ従来はイオン伝導率が液体の電解液に比較して極めて低いため、実用化は難しいとされていた。それがここ数年、伝導率が1×10-2S/cmと、液体並みに高い固体材料の研究成果が続々と発表されており、エレクトロニクス業界からの注目度が高まっている。今回の電池討論会では、電池メーカーや自動車メーカー、化学材料メーカーなどから多数の研究成果が発表され、Liイオン2次電池の正極材料や負極材料に並ぶ、注目トピックとなった(表1)。

表1 全固体電池に関する研究発表の例
第56回 電池討論会の講演から抽出した。大学の発表は多数あるため、大阪府立大学を代表例に挙げた。
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