NAVIGATOR'S EYE
今回の筆者は、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)の立ち上げから尽力され、その理事長を務める、法政大学教授の西岡靖之氏です。IVIが抱く問題意識や狙い、これまでの取り組みに加え、これからの新たな展開についてご紹介いただきます。

 2016年6月17日、これまで任意団体として活動してきた「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ」(IVI)は、同名の一般社団法人として再出発した。IVIは、IoT(Internet of Things)時代のものづくりに向けて、さまざまな業界の企業が等しくイニシアチブ(主導権)を取るためのフォーラムである。設立からちょうど1年が経ち、設立時に53社だったメンバー企業は、2016年5月末時点で146社(422人)に増えている。

 初年度の成果を発表する場として同年3月に開催した公開シンポジウムでは、「つながる工場」や「つながるものづくり」を想定した20の業務シナリオが披露され、500人近くの聴講者が集まった(図1)。初年度の成果は新聞や雑誌にもたびたび取り上げられ、大きな反響を得ている。さらに、同年4月にドイツで開催された「Hannover Messe 2016」では、「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)に関連した講演プログラムの中で日本の事例としてIVIの成果を紹介した。このような情報発信によって、IVIの活動は国内だけではなく海外からも評価され始めており、国際的な団体から提携の申し入れがあるなど、着実に成果を積み上げている。

図1 公開シンポジウムの様子
2016年3月10日に虎ノ門ヒルズ(東京・港)で開催。IVI初年度の成果として20の業務シナリオを発表した。
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 政府の成長戦略として「第4次産業革命」というキーワードが最前面に出ていることもあり、日本の製造業はこぞってIoTの取り組みを加速させている。ただ残念ながら、日本の多くの取り組みは企業単独のものである。一方、世界の革命的な潮流は間違いなくオープン化にシフトしており、どのようなグローバル企業であっても1社で全てを賄うのは不可能な時代になりつつある。

 今後は日本の製造業も、企業の垣根を越えて人と人がつながり、それぞれの業務プロセスの特徴をしっかり理解し、個々の強みを堅持した上でオープンなイノベーションの土俵に乗らなければならない。本稿で紹介する、IVIの「つながる工場」や「つながるものづくり」に向けた技術や手法は、急速な勢いでデジタル化が進む日本の生産現場と相性が良く、その一助になると考えている。

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