ミニマルファブ仕様の装置は現在44機種が完成しており、27機種が完成予定となっている。使える装置のない工程もあるが、既存の半導体製造装置を組み合わせたり、使いやすい一部工程だけを使用したりという方法で量産に使われようとしている。専用のEDAツールに加えて、量産工場との連携につながるような仕組み作りも検討中だ。

 現状のミニマルファブ仕様の装置(ミニマルファブ装置)では、既存の装置と同じ半導体が作れるわけではない。例えば、設計ルールは最小0.5μmと、1990年代のレベルだ。いわゆるデジタルICを、現在多く使われているものと同じ仕様には作れない。微細化要求が強くないアナログ回路、パワー半導体、MEMSセンサーなどでは問題とならない。これらの分野で、実際にミニマルファブ装置を使って半導体製品を作る段階に入って、ミニマルファブ装置の課題などが見えてきた。以下、工程ごとに見ていこう。

 前工程では、工程分の装置がそろっていないことが大きな課題となっている(表1)。特に装置の実用化のハードルが高いのは成膜用CVD(Chemical Vapor Deposition)装置とイオン注入装置だ。

表1 装置が“できた”から“使える”へ
現在、デバイスの開発に向けて装置を購入できるか・使えるかという視点で、前工程に関する代表的なミニマルファブ装置の状況をまとめた。検査工程については現在開発中のものが多い。後工程のうち、パッケージ工程は一通り、1号機の開発を終えているという。
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 CVD装置ではガス系の機構が大きく、ミニマルファブ仕様の寸法に収めることが課題である注1)。装置メーカーは、バルブメーカーの協力を得てガス系機構の小型化を進めている。イオン注入装置でもイオンビームの加速機構の小型化が課題だったが、電界を従来の電磁石から永久磁石に代えるなどして解決した。現在の開発の課題はイオンビームのXY偏向機構の実現に移っている。イオン注入装置は2年以内、開発の遅れているCVD装置は5年以内に実用化する見込みだ。

注1) ミニマルファブ装置の外形寸法は144cm×30cm×45cm。

 ただし、これらの装置がない状況は致命的な問題にはならないようだ。既にミニマルファブ装置を早く利用したいユーザー向けに「ハイブリッドライン」が提供されている。ハイブリッドラインとは、使えない装置の代わりに8インチ(200mm)ウエハー用など既存の装置を利用する製造ラインである。月産2万枚の量産を目指すネイタスでは、処理時間が長い工程で6インチ(150mm)ウエハー向けの装置の利用を予定する(図1)。

図1 装置がない工程にはメガファブ装置を活用
ネイタスは、ミニマルファブの装置が実用段階に至っていない工程に、通常のメガファブ向け装置を活用する「ハイブリッドライン」方式を採用する。具体的には、6インチ大のトレーに0.5インチウエハーを約200個並べて、6インチ向け装置で処理する。いわゆる「縦型処理」向けの装置であれば、6インチ大トレーが最大25枚入ることになる。(図:ネイタスの資料を基に本誌が作成)
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 ミニマルファブ装置は、ウエハーを1枚処理しては次の工程に渡す枚葉処理を基本とし、理想としては「1工程1分」を掲げるが、現段階では実現できていない。「小型だと真空にする時間は短くできるが、ウエハーが小さくても膜の積層時間は30~40分かかる。原理的に短時間での処理は難しいと考えている。時間のかかる工程などには大型装置を組み合わせて効率を高める」(ネイタス 吉田氏)。

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