カスタム仕様の“マイ半導体”を1個から低コストに作る。“誰でも半導体メーカー”の世界が現実に近づいてきた。3Dプリンターがものづくりの裾野を広げたように、半導体製造でも同様の変革が起こりそうだ。「ミニマルファブ」と呼ぶ仕様に基づく製造装置が商用レベルで使われ始め、少量しか生産しないマイ半導体の需要を取り込みつつある。

 機器の付加価値に直結する、自分だけの半導体を中小企業や個人すらも設計・製造できる。そんな将来を目指す、新たな商用サービスが始まった(図1)。既存の半導体メーカーは数千億円の設備投資を継続し、年間数十万~数千万個を発注する大手顧客を相手にすることが多い。個人はおろか中小企業さえ専用半導体を利用することは現実的ではなかった。

図1 ミニマルファブは事業化段階に
ミニマルファブが事業化の段階に入った。ミニマルファブの販売代理店業務および設置、運用、保守などを手がける横河ソリューションサービスは、2016年4月にアプリケーションラボを開設した(写真)。導入検討者に向けた試作などに利用するもので、1億6000万円の投資で約10台の装置を設置した。製品作りに向けた試作・開発が2017年から活発化しそうだ。
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 商用段階に入ったのは、直径0. 5インチ(約12. 5mm)と小径の半導体ウエハーによる「ミニマルファブ」を使った製造サービスである(図2)。既存手法に比べて設備投資は1/1000以下、高コストのマスク開発は不要、100Vコンセントのある部屋に装置を設置できる。少量生産向けのシャトルなど既存サービスと比べても幅広い需要に応えられる(表1)。

図2 12.5mmウエハーで半導体製造の裾野を広く
ミニマルファブで使うのは直径12.5mmの超小型ウエハー(a)。部分的なクリーン環境を維持する搬送用ケース「シャトル」を使うことで、クリーンルームを不要とする。(b)は裏ふたを外したフォトレジストを塗布するコーターで、外形寸法はミニマルファブ装置共通の30㎝×45㎝×144㎝。薬液は、装置内のポリタンクに保持し、処理時に注射器を使って供給する。
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表1 シャトルサービスより安く早く
少量生産といえば、現在はシャトルサービスやフルマスク試作を用いるのが一般的だが、プロセスや仕様に制限が生じたり、製造スケジュールが決まっていて時間的な自由度が低いなど、様々な課題がある。ミニマルファブには、こうした課題をクリアし、より幅広い少量生産需要に応えられるとの期待が集まる。
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 わずか数個の専用半導体を1個当たり数千円以下で手に入れたい─。ミニマルファブ仕様の装置(ミニマルファブ装置)で事業化に取り組み始めた企業は、こうした需要が産業機器や医療機器など幅広い分野で拡大していくとみて、他社に先んじて少量半導体の需要の取り込みを狙う。

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