「決して対岸の火事ではない。他のメーカーのスマートフォンでも同じことが起こり得る」(元電池技術者)。世界のあちこちで発火事故が相次ぎ、2016年8月の発売開始からわずか2カ月足らずで製造・販売中止に追い込まれた韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「Galaxy Note7」ショックがエレクトロニクス業界を震撼させている。いまだに原因がハッキリしないため、「部材メーカー、端末メーカー、電子部品メーカーから、評価用にGalaxy Note7の実機貸出依頼が引きも切らない」(電子機器調査会社関係者)状況だ。一連の問題はなぜ起きたのか、そしてエレクトロニクス業界にどのような教訓を残したのか。

(写真:GettyImages)

 韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「Galaxy Note7」発売から間もない2016年8月24日、韓国のオンラインコミュニティーサイトに「充電中にGalaxy Note7が爆発した」という書き込みと写真が投稿された。写真の端末は左半分が焼け焦げ、ディスプレーも粉々になっていた。その後、各地で「Galaxy Note7の2次電池から発火した」という写真がオンラインコミュニティーサイトに登場、同社は端末を回収して原因調査に乗り出した。

 2016年9月2日、同社は発火の原因について「Galaxy Note7の2次電池に問題があった」と発表し、「Galaxy Note7には韓国Samsung SDI社と香港Amperex Technology(ATL)社のリチウム(Li)イオン2次電池を採用したが、Samsung SDI社の2次電池で問題が生じた。セル内部の極板が押され負極と正極が接触、過熱した」と説明した(図1)注1)。Samsung SDI社は携帯機器や電気自動車、電力貯蔵用大容量ストレージなどのLiイオン2次電池を手掛ける大手メーカーである。ATL社はTDKが2005年に買収したメーカーだ。

注1)サムスン電子ジャパンの広報担当者によれば、「製造工程上の問題による交換ではない」という。そのため、該当ロットのみでなく「出荷品全数を対象に回収・交換した」という。
図1 虹彩認証など高機能を詰め込んだハイエンド・スマホの自信作
韓国Samsung Electronics社の「Galaxy Note7」の分解写真。5.7型の有機ELディスプレー(AMOLED)にスタイラスペン入力を組み合わせたもので、虹彩認証機能やIP68の防水防塵機能を盛り込み、アプリケーションプロセッサーなどの冷却用にヒートパイプも備える。3500mAhの大容量電池や、急速充電機能、ワイヤレス給電機能も売りとしていた。(写真:米iFixit社)
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