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 2016年夏、沖縄県南城市で風変わりな風力発電機が動き出す。風力発電ベンチャーのチャレナジー(本社東京)が開発中の垂直軸型マグナス式風力発電の実証試験機だ。高さ3mほどの3つの円筒が、直径3mの円周上に三角形状に配された特殊な形状をしており、強風下でも壊れることなく発電でき、台風の持つ大きなエネルギーを活用できると期待されている。

プロペラレスで強風でも発電

図1 垂直軸型マグナス式風力発電機の模型
3本のコロを回転させることで生じるマグナス効果によって発電機を回す。
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図2 マグナス効果
流体中に回転体を置くと、片側(図中では回転体の上側)は回転体との摩擦で流体の流れが速くなり、反対側(図中では回転体の下側)は逆に遅くなる。このため上図の場合、回転体の上下で圧力差が生じて流体の流れと直交する方向に力(マグナス力)が働く。
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 チャレナジーの風力発電機には羽根がない(図1)。代わりにあるのは3本の円筒(コロ)だ。これを回転させて生じる「マグナス効果」と呼ぶ現象を利用して発電機を回す。同効果は、流体中に回転体を置くと、回転体に対して流れと直交する方向に力が生じる現象(図2)。野球のカーブボールが曲がるのも、この効果による。

 風力発電に同効果を適用する最大の利点は、「軸出力効率*1を制御できること」(同社代表取締役CEOの清水敦史氏)。

*1 軸出力効率 風の運動エネルギーに対する発電量の比。

 風力発電は太陽光発電以上に高い発電容量を期待できるが、大きな問題がある。現在主流の水平軸型風力発電機は強風に弱く、羽根が折れて落下したり、本体が倒れたりといった事故がしばしば起こっているということだ。

 「プロペラをなくさないと暴走は抑えられない」。そう考えた清水氏は、垂直軸型のマグナス式風力発電機に目を付けた。マグナス力は、回転体の回転速度に比例する。つまり、回転体(コロ)を速く回せば発電機も速く回り、ゆっくり回せば発電機もゆっくり回る。コロの動きを止めれば、発電機はすぐに止まる。一般的な水平軸型風力発電機では耐えきれない強風下でも、コロの回転数を制御すれば発電機を回し続けられ、台風の巨大なエネルギーの一部を取り出せる。その上、垂直軸型なので、どの方角から風が吹いても対応できる。

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