IoTシステムを簡単に構築することを狙ったサービスが、大手のIT企業や電機メーカーから相次いで登場している。クラウド上で提供する機能を組み合わせることで所望のシステムを実現できる。IoTシステム活用の裾野を大きく広げそうだ。

 「これまでIoT(Internet of Things)システムの導入が進まなかった、ユーザー側の理由は大きく3つ。外部からの攻撃やデータ漏えいなどセキュリティー面が心配なこと、投資する効果が見えにくいこと、クラウドや組み込みなどの知識やスキルが不足していたことだ」(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの大谷健氏)。

 この状況を打ち破るために、大手のIT企業や電機メーカーが動き出した。IoTシステム構築を容易にするクラウドサービスを、この1年半ほどの間に次々に発表した(表1)。Amazon Web Services社やMicrosoft社、IBM社といった米国のIT企業や日立製作所、富士通、NECなどの電機大手が、「IoTプラットフォーム」といった呼称で提供を始めている。いずれもシステム構築に必要な技術のハードルを一気に下げる上、データ漏えいなどを防ぐ仕組みもある。これらを利用して、まずは小規模なIoTシステムを構築することで、導入の効果は次第に見えてくると各社は主張する。

表1 IoT向けクラウドサービスが相次ぎ登場
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 各社のIoTプラットフォームが、さまざまな産業にIoTを浸透させる手助けになるのは間違いなさそうだ(図1)。これまでIoTの恩恵を受けられたのは、技術力の高い一部の企業に限られていた。例えば米General Electric(GE)社が航空機エンジンのデータ解析から故障予測などのサービスを提供できたのは、データの収集から解析に至る機能を基本的に自社開発できたからである。IoTプラットフォームを利用すれば、これらの機能を自社開発せずとも、あらかじめ用意された機能の組み合わせでシステムの基本部分を構成できる。実際、GE社自身もIoTプラットフォームの事業に乗り出し、開発してきた機能を他社にも供与し始めている注1、注2)

注1)本記事で取り上げるのは主に業務用のIoTシステムを想定したサービスである。これらとは別に、一般消費者向けの製品をネットワークで連携させる仕組みを用意するメーカーも少なくない。例えばApple社の「HomeKit」は、家電製品をネットワークにつないでスマホなどと連携させることを想定している。Google社は2015年5月にネットワークにつながる機器向けのAndroid、「Project Brillo」を発表した。
注2)Amazon.com社は、プリンターのトナーなどの消耗品が減ると、それを使う機器が自動的に発注する仕組み「Amazon Dash Replenishment Service」や、特定の商品に紐づけられていてボタンを押すだけでそれを発注できる装置「Amazon Dash Button」などを米国で実用化している。
図1 クラウドサービスの登場でIoTが普及期に
先進的な企業だけが実現してきたIoTシステムが、IoT向けクラウドサービスの登場やセンサーの低価格化により、誰でも構築できる時代になりつつある。
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