「定格と負荷曲線を守ったのに抵抗器が発煙した」「電子部品の寿命を正確に見積もれない」─いずれも電子機器の熱設計の常識が変わったために起こった問題だ。電子部品の実装方法が進化したにもかかわらず、データシートに載る温度規定は50年以上前の実装方法を前提としている。大きな事故が起こる前に、温度規定を実態に合わせる動きが出てきた。

 「部品の熱は空気ではなく基板に逃げるようになった」(サーマルデザインラボ代表取締役の国峯尚樹氏)。電子機器の熱設計を根本から見直す時期に来ている。今のままでは、十分な安全性を担保して機器を設計・開発できない恐れがある。実装技術などが進化した結果、放熱の経路が大きく変わったためだ。

 ここへ来て、電子機器は部品の熱を空気ではなく基板に逃がすようになってきている。従来、部品の仕様温度は、周囲(空気)で規定していた。今もデータシート上ではこうした従来のままの放熱経路の考え方をしており、現実と乖離する状況が生まれているのだ。そこに、技術者の熱に関する経験不足や安易な低コスト化といったほかの要因が重なると、思わぬ熱設計の不具合を引き起こすリスクがある(図1)。そこで基板に接する端子部温度での規定に切り替えようとする動きが出てきた。

図1 実装の進化と技術者の経験不足が熱問題を顕在化
熱に起因するトラブルを招く「熱問題」の原因を示した。以前は何ともなかった部分で熱問題が起こっている。背景にあるのは、表面実装や高密度実装の普及、高機能化といった技術進化だ。熱設計の難易度が高まっていることに気付かず、技術者の経験不足や低コスト化などの要因が重なると顕在化する。
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