現行のリチウムイオン2次電池(LIB)の数倍~10倍超の容量を持つポストLIBの存在感が急速に高まってきた。これまで実現は遠い将来と考えられていたが、技術の開発が大きく進展し始めたことに加え、既存のLIBの安全面、技術面、価格面での限界がハッキリと見えてきたからだ。

 エネルギー密度は現行のリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)の数倍から10倍超の「ポストLIB」の研究開発が大きく進んでいる(図1)注1)。ポストLIBの技術は幾つもあるが、この1年ほどで大きなブレークスルーがそれぞれの技術に相次いだ。1つでも実用化できれば、スマートフォン、ウエアラブル端末、ドローン、そして電気自動車(EV)や電力系統の安定化用蓄電池など、充放電可能な2次電池を用いる用途の使い勝手を大幅に向上させ、社会的インパクトも非常に大きい。

注1) 現行のLiイオン2次電池は材料としては1990年前後にほぼ出そろい、その中から正極材料と負極材料の組み合わせや、正極材料の組成比やセル設計を変えることなどで性能向上や安全性を高めてきた。本記事ではこれらを「現行LI B」として、最近の新しい材料に基づく正極や電解液を用いた「先進LIB」や、さらに新しい技術を含めた「ポストLIB」と区別する。
図1 次世代電池の研究開発に大きな進展が続々
各種次世代電池の電池パッケージでのエネルギー密度の推定値と、それぞれの研究開発における最近の成果を示した。図における各電池のパッケージのエネルギー密度はNEDOの試算で、正負極の理論エネルギー密度の1/2とした値。(図:NEDOの資料に本誌が加筆して作成)
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 例えば、これまで液体だったLIBの電解質を固体電解質にする全固体電池の研究では、「Liイオンの高速道路」と言われる電解質材料が開発された。Liイオン伝導率が飛躍的に向上し、従来のLIBをはるかに超える出力密度を実現できる可能性が出てきた。

 理論上はエネルギー密度の大幅な向上が期待できても、実際には放電容量が低かったLi空気電池の開発では、1回目の充放電サイクルではあるものの、理論値に近い放電容量を確認できるようになった。Liを用いない非Liイオン電池系の技術では、食塩の材料であるナトリウム(Na)イオン2次電池で、LIBを超える放電容量の正極が開発され、しかもこれまで大きな課題だった充放電サイクルは、500回以上と大幅に伸びた。

 これらはそれぞれに課題が残っており、実用化に直結するわけではない。それでも、以前よりははるかに明るい展望が広がってきたといえる。

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