電池容量を増やしつつもモーターは旧型を踏襲した新型「リーフ」はどう進化したのか。最高速度を手始めに、様々な角度から検証し、量産電気自動車(EV)の走行性能を探った。電費やモーターおよびインバーターの発熱なども、実車を使って評価した。刷新したインバーターは分解して内部に宿る技術をのぞいた。

「よーい、スタート!」

 日産自動車の「リーフ」が勢いよく飛び出していった。ここは「伊是名場外離着陸場」。沖縄県北部に位置する伊是名島にある滑走路だ(図1)。直線距離は600mを優に超える。

図1 ベタ踏みの最高速度は約137km/hを記録
(a)実験は沖縄県の「伊是名場外離着陸場」で実施した。乗員は運転者の1人のみ。(b)最高速度は350〜380m付近で出た。(c)発進直後から25m付近まで4m/s2を超える加速度を記録した。
[画像のクリックで拡大表示]

 はるばる離島までやってきたのは、最高速度を実測するためだ。意外なことに、日産は新型リーフの最高速度の数値を広く公表していない。分からなければ測ればよい。

 さらに、電費やモーターおよびインバーターの発熱など、多角的な実車試験で新型リーフの進化に追った。

発進加速度は0.4G超を記録

 最高速度の測定に使ったコースは伊是名場外離着陸場の直線路で、停止状態から400mまで加速を続ける注1)。直線自体は600m以上あるが、その先は崖だ。操作を誤ると海に沈む。ステアリングホイールは、国内A級ライセンス(審判員)を持つジムカーナドライバーの與那覇朝巳氏に託した。

注1)走行データの測定には、小野測器の小型GPS速度計「LC-8300」を使用した。測定精度は水平速度が±0.2km/h以内で、水平距離が±0.2%(水平速度30km/h以上、衛星捕捉数7個以上のとき)。

 3回の測定の平均値は136.4km/hだった〔図1(b)〕。後日、日産の技術者に確認を取ったところ、最高速度は「140km/hほどに設定している」との回答を得たので想定内だ。

 エンジン車よりも最高速度の上限を抑えている理由は、EVの駆動力としてモーターを用いているからだ。モーターは回転速度を高めると逆起電力が大きくなり、回転速度を上げにくくなる。弱め界磁制御で逆向きの磁束を発生させて対策するが、その分無駄な電流が増え効率が下がる。「効率と最高速度のバランスを考えて140km/hにした」(同担当者)という。

 発進加速は良く、100m程度までエンジン車よりも優れた加速性能を示した。発進直後から25mほどまでは、4m/s2(=約0.43G)を超える強い加速度を持って前進した〔図1(c)〕。加速Gは、旧型リーフから「20%増やしている」(日産)という。

 停止状態から60km/hに達するまでの時間は4.6秒で、同100km/hまでは9.0秒だった。モーターの制約により最高速度を140km/h程度に制限しているため、後半の加速には伸びがない結果となった。

 ちなみに、米テスラ(Tesla)のEV「モデル3」の最高速度は210km/h以上で、停止状態から96km/hまで5.6秒で達する。リーフよりも3秒ほど速い。走行性能を優先するかエネルギー効率を重視するか、Teslaと日産で設計思想の違いが表れた。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経Automotive」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら