「音から形を導き出せないか」

 コンピュテーショナルデザインの第一人者である竹中司氏は、岩手県釜石市にある釜石市民ホールTETTO*1の設計者であるヨコミゾマコト氏から同ホールの音響・形状最適化についてこんな依頼を受けた。コンピュテーショナルデザインでホールの音響最適化を図り、それに合わせてホールの形状を決めたいというのだ。

*1 2017年12月竣工。設計者はaat+ヨコミゾマコト建築設計事務所、音響設計は永田音響設計。

 その結果、バイオリンを思わせる曲面の天井と壁に囲まれたホールが生まれた(図1、2)。左右の壁は、木材の単板積層材「LVL」*2を削り出した幅80〜100cm、厚さ10cm以上のピースを積み上げている。壁自体は左右対称だが、個々のピースは全て形状が異なる。変化に富んだリズミカルな形状は、舞台からの音が各客席に美しく聴こえるように最適化されている。

*2 LVL(単板積層材) ラミネイティッド・ベニア・ランバー(Laminated Veneer Lumber)。スライサーなどの切削機械で切削した厚さ2~4mmの単板を、繊維方向を平行にして積層・接着した木材加工製品。
図1 釜石市民ホールTETTOの壁面
木材の単板積層材「LVL」を削り出したピースを積み上げた。舞台からの音が、各客席に美しく聴こえるように形状を最適化した。 (出所:アンズスタジオ)
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図2 釜石市民ホールTETTOの内装
釜石市民ホールは838席の多目的ホール。音響最適化を優先して、バイオリンの曲線を思わせる天井と壁の形状を決めた。(出所:青島琢治)
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