最近になってさまざまな種類の“量子コンピューター”が発表された。しかし、これらには、あたかも“白猫”は正しいが、“黒猫”は偽物だといった真贋論争が巻き起こっている。「白い猫でも黒い猫でも役に立つ猫(“量子コンピューター”)はどれか、あるいはどれぐらい役に立つのか」を軸に考えれば、選択すべき“量子コンピューター”がどれかが見えてくる。

 2017年はさまざまな“量子コンピューター”やその実用化時期が相次いで発表された年だった。しかも、発表ごとに実用化時期が大幅に前倒しされた(図1)。

図1 広義の量子コンピューター、実用化競争始まる
最近話題になっている各種の“量子コンピューター”の分類やそれぞれの実用化見通し、および従来の狭義の量子コンピューターとの位置付けを示した。近く実用化可能とされている“量子コンピューター”は、いずれもアナログコンピューターで、実装技術によって誤り訂正なしの量子ゲート型とイジングマシン型に分類できる。イジングマシン型には、さらに多くの実装手法があり、実用化競争を始めている。一方、デジタル計算が可能な狭義の量子コンピューターの実用化は早くても20年以上先になる見通しだ。ただし、米Microsoft社が開発中のエラーがない量子コンピューターを実用化すれば、状況が変わる可能性がある。
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 具体的には2017年3月に、米Google社が学術誌「Nature」で、5年以内の商用化を発表。2017年10月には米IBM社が2020年ごろに商用化する計画を明らかにした。2017年11月には、NTTなどが「国産初の“量子コンピューター”の24時間稼働に成功」と発表。2017年12月、富士通は本誌取材に対して、「量子コンピューターに良く似た(Quantum Inspired)デジタルアニーラ」を2018年春に商用化する計画を明らかにした。

 富士通やIBM社、そして“量子コンピューター”を商用化済みのカナダD-Wave Systems社などは、自動車関連メーカーや製薬、材料系メーカーの顧客獲得競争を始めている(第2部「商用化始まる“アナログ量子”、材料探索や最適化で威力」参照)。

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