大きなトルク、良い燃費、静かな走り─。トラック用と思われていたディーゼルエンジンは、乗用車用でもガソリンエンジンより高級なエンジンという評価を確立した。変化の立役者は噴射弁(インジェクター)だ。デンソーの噴射弁で最新の第4世代品「G4S」について、そのメカニズムを解説する。

 ディーゼルエンジンの歴史は噴射圧が上がっていく歴史だ。現在のコモンレール式注1)になる前、噴射圧はせいぜい50M~60MPaだった。コモンレールの第1世代では、噴射圧はトラックで120MPa、乗用車で145MPaに上がった(図1)。その後、世代が進むとともに噴射圧は高くなり、現行の第4世代では250MPaに達した。

注1)現在、ディーゼルエンジンが高い評価を得ている最大の原因はコモンレールを採用したことだ。ポンプは常に回っていて燃料を高圧にし、それを細長い蓄圧室(コモンレール)に蓄えておく。噴射弁は開いたり閉じたりするだけで、それ自体が圧力を上げることはない。
図1 デンソーの噴射弁の進化
世代とともに噴射圧が上がってきた。図中の「EU2」「EU3」などは欧州の環境規制を示す。
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 噴射圧が高いと、燃焼のすべてが良くなる。同じ量の燃料を噴くのに、噴口径を小さくできる。噴口径が小さければ燃料液滴の粒が細かく、空気との接触面積が大きくなる。大きな液滴の中の方にある燃料は燃焼時に酸素不足になり、黒煙が発生する元となる。また、噴射圧が高ければ噴射は短時間で済む。数回に分けて噴くなど、燃焼を自由に制御できる。

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