「ナノテクノロジー」の概念は、2000年に米国のクリントン大統領が発表した「国家ナノテクノロジー計画(NNI:National Nanotechnology Initiative)」によって、一気に大きく範囲が広がりました。

 本コラムの前回(2018年1月号)で述べたように、1974年に「ナノテクノロジー」の概念を提唱した東京理科大学教授(当時)の谷口紀男氏は、その定義を「加工精度が1nmの製品を造り出す総合生産技術」とされていました。ところが1986年に出版されたK・エリック・ドレクスラー(Kim Eric Drexler)の著書「ナノテクノロジー 創造する機械」の中では、ナノテクノロジーの定義は原子や分子レベルで物質の構造制御を行うところまで飛躍しています。同書の中ではタンパク質分子マシンから、それこそ宇宙計画にまでナノテクロジーの概念が広がってしまっているのです。

 そして、その飛躍したナノテクノロジーの概念を決定的にしたのが、前述した米国のNNIです。NNIの連邦予算は2000年に2.7億米ドル(1米ドル=110円として約297億円)、2004年には9.6億米ドル(同約1056億円)と3.5倍にも拡大しています。

 参考までに、NNIに関係するアメリカの省庁は下記の通りです。

・農務省
・国防総省
・エネルギー省
・国土安全保障省
・司法省
・環境保護局
・NASA(アメリカ航空宇宙局)
・国立標準技術局
・国立労働安全保険研究所
・国立衛生研究所
・NSF(全米科学財団)

 NNIでいうナノテクノロジーとは、それこそ農作物の遺伝子組み替え技術からバイオ燃料、航空宇宙、軍事技術まで非常に幅の広い概念です。

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