パワートレーンの動向を占う上でカギを握るのは、電気自動車(EV)の比率である。エンジンに強い日系自動車関連メーカーの行方を大きく左右する。

 2017年、EVが普及していくとの見方で賑わった。中国勢と欧州勢の“EVシフト”が鮮明になったことが大きい。中国が、2019年から「NEV(新エネルギー車)」規制を導入すると決めた。大量のEVの販売と生産をメーカーに義務付ける。世界最大の自動車市場である中国の大胆な政策は、世界におけるEVの存在感を否が応でも高めた。欧州勢がEV化に走るのは、ドイツVolkswagen社を筆頭に中国市場のシェアが高く、「中国に乗らざるを得ない」(大手自動車部品メーカー幹部)ことがある。

 ただし2030年までを見据えると、EVの比率は一気に高まらないだろう(図1)。新車販売に占めるEVの比率は、10%前後にとどまるとの見方が主流だ。電池価格は十分に安くなるが、「長い充電時間や少ない充電インフラの課題は世界中では解決しない」(大手日系自動車メーカー幹部)と考える向きが大勢である(図2)。

図1 主要市場におけるパワートレーン構成の変化
日本、米国、欧州、中国、インドを対象にしたデロイト トーマツ コンサルティングの予測結果。EVに対して強気の予測が多い中、同社の2030年までの予測値は控え目。「フォアキャスト的」な予測を採用し、日本におけるHEVの普及曲線を参考に、現実的に実現しそうな値を試算した。一方で2030年以降については「バックキャスト的」とし、2050年にCO2排出量90%削減を実現するために必要なパワートレーンの比率を算出した。なお、本誌は2025年にEV市場が世界で400万台、2030年に1000万台前後とみている。
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図2 リチウムイオン電池セル価格の予測
セルの価格は下がり続け、2022年に100ドル/kWhを下回る。JPモルガン証券の資料を基に本誌が作成した。
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 主な調査機関による2030年のEV比率の予測値は、1.6~26%と大きく異なる。ただ小さな値を弾き出すのは石油会社で、20%超と大きいのは一部の金融機関である。極端な値を「ポジショントーク」(国内自動車アナリスト)とみなして除くと、10%前後というのが大勢だ。

 EV比率は一気に高まらず、日系自動車関連メーカーがEVシフトに備える時間は十分にある。むしろEV化へと一気に舵を切り、強みのあるエンジン事業を隅に追いやるほうが危険だ。10%前後では、既存のエンジン事業の利益ほどにEV事業の利益を増やせない。

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