本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 ソニーが2018年1月に発売した犬型ロボット「aibo」(図1)。内部に500本以上のオープンソースソフト(OSS)が搭載されていることや、顔認識のためのディープラーニングの仕組みなどについては本誌の前号の記事1)で紹介した。後編となる今回の記事では、aiboのソフト・IT面を構成する最後の要素として、クラウド基盤を取り上げる。

 ロボットにとってクラウド基盤はもはや、なくてはならないものである。画像認識などのためにロボット内部にディープニューラルネット(DNN)を設ければ、その時点でクラウドとの連携がほぼ必須になる。DNNの推論自体はロボットのローカルで実行できるものの、学習については演算負荷が重いためクラウド側で実行せざるを得ないからだ(PFN岡野原氏の記事を参照)。多数のロボットの稼働状況を統計的に分析したりする際も、クラウド基盤が必須になる。

図1 aiboの外観
多数のセンサや22軸分のアクチュエータをわずか2.2kgの体に収めている。(写真:ソニー)
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 さらに、クラウドで用いられる技術やアーキテクチャは、単にバックエンドのITシステムを規定するだけにとどまらない。詳細は後述するが、ロボット内部のソフトウエアや、そのロボットとつながる周囲の機器との連携方法にまで影響を及ぼす。クラウド基盤といっても“雲”の向こう側だけでなくエッジ側の機器の内側の技術にまで影響するのである。ロボット技術者であれば、今後、こうしたクラウド技術の素養と理解は必須といえる。

 aiboは一見、かわいらしい犬型のロボットだが、こうした将来のロボットとクラウドの関係を考え抜き、綿密に設計されたロボットだといえる。ロボット単体で見ても意味がなく、クラウドシステムなどIT面の実装を含めて分析するべきものだ。以降では、aiboのクラウド基盤の設計、さらにはそこから垣間見えるソニーのIoT事業の展望を見ていこう。

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