ゲームで心理ケア、もちろん批判的な目はありました(page 4)

清水あやこ氏 HIKARI Lab 代表取締役

2017/11/01 05:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

――SPARXはどういうゲームなのでしょうか。

 SPARXは、ファンタジーの世界で冒険をしながら認知行動療法を学ぶゲームです。ゲームの中は、ネガティブな気分がボールの形をしたモンスターとして存在する世界が広がります。自分のアバターは、ヒーローとなってモンスターと戦い、世界を救うというストーリーです。

「SPARX」画面イメージ
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 全部で7つのレベルがあり、1週間で1レベル進めるペースを推奨しています。これは1回のゲームで学んだことを、1週間ほどかけて自分の生活で落とし込んで実施してもらおうというものです。自分の生活で実践すると、何かしらの気づきを実感することができるからです。この方法は、通常のセラピーでも行われています。

 ポイントは、ネガティブな気分をモンスターとして外在化させているところです。外在化することで、ネガティブな気分は自分自身ではなく“外から影響を与えてくるもの”という見方ができるようになります。また、モンスターを倒す方法についても学ぶことができます。これは実際の認知行動療法のやり方や考え方と同じです。

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 認知行動療法というのは情報処理プロセスに注目した問題解決のアプローチです。具体的には、まず今の問題を客観的に捉えます。その上で、解決するためにはどういう考え方や行動をすればいいのかを検討するのです。SPARXでは、この問題の外在化と問題解決を自然に体験することができます。

 SPARXを繰り返しプレイすれば、日常生活の問題も客観的に捉えられるようになります。例えば、「仕事がまだ8割しかできていない」とネガティブな感情が込み上げてきても、SPARXを行うことで、その判断が正しいかどうかを問う姿勢が身に付きます。「8割もできている」可能性もありますし、残りの2割を終わらせるために人に上手くお願いするスキルが役立つこともあります。もしくは、呼吸法を用いて冷静に対処する、というのもいいかもしれません。このように適切な対処ができるようになることが期待されるのです。

 オークランド大学では10代向けに開発されていましたが、日本版では大人も使えるように修正を加えています。実際のユーザーは30~50代の男性が8割を占めます。スマートフォンになじみがあり、うつ病が多いとされている年代です。

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