ショッピングモールに「介護」ののれんを掲げたワケ(page 5)

佐々木麻希氏 ポポ・ケセラセラ 取締役

2018/10/15 10:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

――事業を立ち上げるに当たって難しかったことは何ですか。

 地域に「デイサービス」として認知していだだくまでには予想以上の時間がかかりました。というのも、親会社のケセラセラは介護とは畑違いのデザイン会社であり、介護事業者としてはまったくの“新参者”だったからです。

 工事の遅延により、事業所の認可が下りる目処がつくのも当初より遅れてしまい、居宅事業所へのご挨拶が遅れたことが重なったことも原因です。とある同業の方からは、「ケアプラン事業所を併設せずにデイサービスをいきなり出店するなんて、随分無茶をしますね」と言われたこともありました。

 それでも、目の前の利用者に全力で向き合う当社の取り組みは、徐々に口コミで広がっていきました。利用者とその家族からの評価も合間って、徐々に信頼を寄せてもらえるようになったと実感しています。今では、ほぼ毎日のようにケアマネジャーから問い合わせをいただいています。

 特に印象的だったことは、ポポ・ケセラセラに通う利用者を担当していたあるケアマネジャーが、自身の家族を通わせたいといってくれたことです。地域のあらゆるサービスを見てきた人が、自分の大切な家族を通わせようと思ってくれたことは、当社が地域で認められたようで嬉しかったです。

――時間を分けて複数のサービスを提供するのはなぜですか。

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 当面の売り上げを優先するのであれば、介護保険サービスのみを運営する方が安全だとは思います。正直、自費サービスの時間帯そのものは、しばらくは赤字での運営が続くと思います。

 それでも、確かな需要がある介護保険外のサービスを提供したかった。介護保険が使えない人や親の介護で自分の時間を確保できない人たちの“駆け込み寺”のような存在になるために、質の高い機能訓練の場を継続しやすい価格で提供することも譲れませんでした。

 介護保険を使ったサービスを提供している時間帯に、自費でサービスを利用してもらう場合、保険利用者と同等の1回4000〜5000円の利用料を設定せざるを得ません。こうした事態を回避するために、ポポ・ケセラセラでは介護保険を利用したサービスと自費サービスを提供する時間帯を完全に切り離しています。これによって、1回2000円、送迎付きでも3000円の価格を設定できました。何よりも手軽に利用できることを優先したかったのです。

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