ショッピングモールに「介護」ののれんを掲げたワケ(page 4)

佐々木麻希氏 ポポ・ケセラセラ 取締役

2018/10/15 10:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

――なぜ、ショッピングモールという場所にのれんを掲げたのでしょうか。

 ショッピングモールは社会とのつながりを感じるさまざまな要素が集約されているからです。デイサービス事業所の多くは、経営戦略上、郊外に立地しています。立地せざるを得ない、という言い方のほうが正しいかもしれません。

外観の様子
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 プライバシー保護という観点から、中の様子は外から確認できず、閉鎖的な空間になっていることも多いです。一概にそのような現状を否定するわけではありませんが、そうした人目を避けるような環境が結果的に高齢者を社会から遠ざけているのではないか、と率直に感じていたのです。自立支援のためのデイサービスが、むしろ社会から遠ざける要因になってしまっているのではないか、という疑問も感じていました。

 一方、ショッピングセンターには五感を刺激するさまざまなエリアが存在します。普段関わることが少ない若い世代の人を見る機会も多く、スタジオから一歩外に出れば社会との接点を持つきっかけがゴロゴロ転がっています。

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 通りすがりの人が外からスタジオを覗いている姿や、デイサービスの送迎の際に利用者がモール内の駐車場を列を作って歩く様子というのも、今ではすっかりイオンタウン姫路の日常風景となっています。

 そして、ショッピングモールは“実践の場”としても活用できます。実際にある長い階段や高さの違う椅子を活用することで、その場に必要な動作をその場で体感しながら習得できるというのも魅力です。

 いくらデイサービスで機能訓練を行っていても、実際にショッピングモールなどの大きな施設にひとりで出かけるイメージを持てる人は少ないと思います。私たちは、利用者が自宅から一歩外に踏み出し、社会とのつながりを持つきっかけを提供したいと思っています。そのためにも、この環境は必須でした。

 また、介護で悩む家族から「介護保険やデイサービスを利用したいけど、どこにどう相談すればわからない。ここは入りやすい」という声や「親にデイサービスを勧めても、嫌がって見学にも行こうとしないが、ここなら誘いやすい」という声も多く届きます。これもショッピングモールに出店した大きな狙いです。

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