図1 山地正洋代表取締役

 京都大学発ベンチャー企業のティエムファクトリ(本社東京)は、透明性が高い断熱材を工業材料化する事業を本格的に進め始めた。契機は、2017年2月17日に京都大学の子会社であるベンチャーキャピタル(VC)の京都大学イノベーションキャピタル(本社京都市、関連記事)、NECキャピタルソリューション、テックアクセルベンチャーズ(TechAccel、本社東京)の3社が合計1億5000万円を協調投資したことだった(各ベンチャーキャピタルはそれぞれ5000万円を投資したもよう)。この“シリーズA”と呼ばれる最初の投資を受けて、ティエムファクトリは事業化に向けた研究開発を本格化した。同社の山地正洋代表取締役に今後の事業計画などを聞いた(図1)。

――事業を始めたきっかけは。

山地 当社が事業化を進めている透明エアロゲル「SUFA」(Super Functional Air)は、京都大大学院理学研究科の中西和樹准教授の研究成果です。私が京都大大学院の研究員として在籍していた時に、京都大が保有する研究成果(知的財産)である透明エアロゲルのシーズを知って、事業化したい有望な研究成果だと思いました。

 このため、中西准教授の発明を基にした特許を、京大系TLO(技術移転機関)である関西ティー・エル・オー(本社京都市)から技術移転として特許のライセンス実施権を獲得しました。手続き上は、2015年12月に契約が成立しました。そして、分野限定の“独占的”な通常実施権を得ています。「分野限定」の中身はお話しできません。

――創業した経緯は。

山地 友人数人と、ティエムファクトリを設立したのは2012年11月2日です。当社の名前の由来は、現在の透明エアロゲルの事業化とはいくらか異なります。今は、当社の会社の目的を「機能性材料の研究開発および製造販売」と表記しています。

 透明エアロゲルの事業化を始めた直接的な契機は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が始めたスタートアップイノベーター制度に採択されたことでした。2014年11月のことで、第1回のスタートアップイノベーターです。その後、約1年間にわたって人件費と研究開発費が提供され、透明エアロゲルの事業化プランを練り上げ、事業化の可能性を検討しました。この時に関西ティー・エル・オーと技術移転の交渉をしています。

 作成した事業化プランを基に、エアロゲルを継続して研究していた會澤守氏を取締役CTO(最高技術責任者)として2015年に当社に迎え、さらに取締役生産技術部長や取締役管理部長も次々と入社し、事業化を進める陣容がある程度整いました。私は慶応大学を卒業しているので、慶応大の友人関係などから人材を集めました。また、中西准教授にも取締役として、当社に参画していただいています。現時点では、役員と従業員を併せると14人になっています。

 現在、研究拠点は京都大吉田キャンパス内に、開発拠点は東京都江東区の都立産業技術研究センター内にそれぞれ構えています。事業化検討は開発拠点で進めています。

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