医学生だった僕が「起業とIT」に目覚めたワケ(page 5)

田澤 雄基氏 慶応義塾大学病院 精神・神経科 医師

2017/03/22 10:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

――田澤さんはその後、エスティム社を売却し、2014年から研修医として慶応大病院に勤務します。健康医療ベンチャー大賞との関わりはどのように生まれたのですか。

 2015年に(再生医学分野などで著名な)岡野栄之先生が慶応大医学部長に就任されました。先生が主導する形で2016年4月に医学部に立ち上げたのが、「知財・産業連携タスクフォース」です。そのコンセプトは、医学部の機能を従来よりも広げ、他分野のソリューションを活用しながら社会課題にアプローチすること。そこに向けた産業創成やサービス創出にも貢献する狙いがあります。

 医学部眼科学教授の坪田一男先生がタスクフォース委員長をお務めなのですが、ご子息の坪田康佑さんと私にご縁があったんです。康佑さんも慶応大出身。ビジネスコンテストで受賞されたり、「どこでもクリニック」という移動型クリニックを私の地元、栃木県益子で立ち上げられたりしていたこともあり、知り合いでした。それで、親子でタスクフォースについて話している時、私の名前が出たらしいんです。

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 健康医療ベンチャー大賞は医療・健康分野のビジネスプランを競うコンテストで、知財・産業連携タスクフォースの柱になる取り組みです。坪田先生とディスカッションのうえ、私が実務を担当する形で立ち上げることになりました。社会人部門と学生部門を設け、優勝チームには賞金の授与や海外医療イノベーション拠点の視察、複数分野の専門家によるメンタリングなどの機会を提供します。ベンチャーの育成を支援し、起業の文化を医学部に醸成していくことが企画の狙いです。

 ベンチャー育成を目的としたコンテストを大学医学部が主催するという試みは、おそらく日本初。AppliCareの立ち上げに携わった自分が、母校が主催する同様のイベントに関わることになるとは思いませんでしたね。

 幅広くプランを募り、2月に応募を締め切りました。テーマを医療ITに限定したわけでは全くないのですが、ふたを開けて見るとAIやIoT、遠隔医療などに関わる提案が多かったです。社会人部門と学生部門のそれぞれについて、既に書類審査で5チームずつに絞っており、3月26日に決勝大会を開きます。

 医学部主催ですが、慶応全体がバックアップするイベントでもあります。決勝大会の審査員には医学部だけでなく、経済学部や環境情報学部、ビジネススクールの先生方も名を連ねています。医療の課題解決につながるソリューションは多くの場合、“医療の外”にある。そういう思いを全学で共有しているわけです。

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