患者にとって良い医療、「ビジネス」も必要だった(page 5)

原 正彦氏 日本臨床研究学会 代表理事/mediVR 代表取締役社長/循環器内科専門医

2018/02/05 09:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

――「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」でグランプリを受賞された心境を教えてください。

「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2018」の様子(この写真のみ編集部が撮影)
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 ほっとしています。開発しているリハビリテ―ション治療機器は、定量評価と定量表示を行うという基本コンセプトはほぼ完成していますが、インターフェースはこれから作りこんでいく段階です。まずは、粛々と機器を作っていきたいと思っています。その上でサポート企業との協業も進めていきたいです。

――VRリハビリテーション治療機器の着想はどこから生まれたものですか。

 今回の開発は、リハビリテーションの定量化ができないという課題からスタートしました。人は定量的なものを目にすることで自分の状態を客観的に捉えることができます。子どもの頃に身長がどれだけ伸びたか壁に線をつけていたのが良い例です。

 こうした物差しがない状態でリハビリテーションを行っていると、患者は治っているのかそうでないのかわかりません。モチベーションが低下してしまう場合もあります。改善具合が一目でわかるものがあれば、こうした事態を防ぐことができます。

 実際、今回の製品コンセプトを発表すると、理学療法士から「まさに私たちがやりたかったことです」「この手があったか」といった言葉を掛けてもらえます。運動目標を定量表示したいという思いはあったものの、それをする方法がわからなかったということです。VRでなくては実現できなかった技術です。

――VRリハビリテーション治療機器については、特許取得からわずか4カ月の間に、安全性試験を経て医療機器製造販売許可を取得したと聞きました。このスピード感の秘訣は何でしょう。

 アカデミアとビジネスの経験値を積む中で、特許取得の方法や安全性試験のやり方などについても熟知したことが理由です。世界のコンペティションで戦いながら身に着けた「人をどう説得すれば納得させられるか」というノウハウも生きていると感じます。弁理士も驚くようなやり方で特許を取得していますが、現在までの特許査定率は100%です。

 人を納得させるために一つひとつの言葉選びに気を配るのは、医師として患者と接するときも同じです。人によって響く言葉は違うからです。例えば、「たばこを吸うのはやめてください」と言っても吸い続ける人に、「最近たばこを吸わない人がモテるらしいですよ」と言うと行動が変わることがあります。

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