エイベックスが“線虫でがん診断”を支援するワケ(page 2)

保屋松靖人氏 AVEX&HIROTSU BIO EMPOWER 代表

2019/01/22 17:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

――なぜ合同会社を立ち上げることになったのですか。

 5年前に息子が小児がんと診断されました。治療の甲斐あって、今は学校に通えるほど元気になりましたが、息子の病気は私にとってすごく大きな出来事でした。

 20年近く前にエイベックスに入社して以来、人に勇気や元気を与えるエンターテインメントを仕事にしてきました。息子や小児がんと闘う子ども達の姿を目の当たりにし、この子達に自分が生業としてきたエンターテインメントを通じて何かできることはないのか――。そんな風に思いを巡らせる日々でした。

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 そんな時、息子が入院する病棟で、当時マネジメントを担当していたアーティストのファンの女の子と出会いました。抗がん剤治療をしていた彼女に喜んでもらいたいと思い、「早く病気を治して、コンサートを見に来てね」というアーティストのメッセージ入りサイン色紙を渡すことにしたのです。すると後日、女の子の母親が「治療が辛いと泣いていた娘が、積極的に治療に取り組むようになってくれた」という御礼の手紙を送ってくれたのです。

 たった1枚の色紙が、女の子の治療に対する気持ちを変えたわけです。それまでは、ヒット曲を生み出したり人気者にしたりすることを目的にアーティストのマネジメントを行っていましたが、エンターテインメントやアーティストの存在意義はほかにもある。そんなことを強く実感しました。

 その存在価値を形にできないかと模索していた際に、HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏と出会いました。広津氏が開発しているN-NOSEは、1滴の尿でステージ0やステージⅠの早期がんを精度良く検出することができます。痛みもなく、簡便で体に負担もかかりません。

 この検査はもしかしたら全ての子ども達が受けられる検査になるかもしれない。手軽に受けられる優れた検査が広まれば、必ずや若い人や子供たちもがん検診を受ける世の中になるだろう――。

 そんな思いから、ぜひN-NOSEを広める手伝いをしたいと考え、合同会社を設立することにしました。

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