受忍限度を超えるものは違法

 太陽光発電システムへの日照は、どのような要件の下で法的に保護されると考えれば良いのでしょうか。

 本来、法律の規制の範囲内では所有権の範囲内で土地や建物を自由に建築できるのが原則であるため(憲法29条1項、2項)、建物を建築する行為は適法であるのが原則であり、当該建物の隣地に設置されていた太陽光発電システムに太陽光が当たらなくなったとしても、直ちに違法となるものではないと考えられます。そして、この所有権の行使の結果が、他人の権利を侵害していると評価できるかどうかについては、“受忍限度”という考え方により適法性が判断されています。

 すなわち、人が社会を形成して生活を営んでいる以上、互いに何らかの迷惑を掛けあって生きているものです。それゆえ、一定の範囲内で、互いに受ける迷惑・被害を受忍しあう必要があり、その程度が著しいときに限ってこれを違法とし、相互の利益を調整することになるのです。

 それゆえ、諸事情を総合考慮し、隣地の土地開発の利益と太陽光発電システムに日照を受ける利益の比較衡量により、太陽光発電システムへの日照阻害が違法といえるかどうかを判断する必要があると考えられます。

 既存の日照権保護で考慮される要素にも鑑み、概ね以下の事情を総合考慮することにより、違法性の有無を判断することとなります(図2)。

図2●違法性の判断に際して考慮される事情
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 以上を踏まえて、総合的な判断が求められるものであり、裁判所においては、太陽光発電システムの実態を踏まえた合理的かつ科学的な判断が求められるでしょう。そして、受忍限度を超えていると判断されたときは、業者は損害賠償責任を負うこととなります。

 但し、受忍限度を超えるものとしては、建築基準法にて定める高さ制限に違反してマンションを建築した場合など、ある程度限定的な場面に限られると考えます。