損害賠償を請求できる場合は?

 改正民法に則した「契約不適合を理由とする損害賠償請求」のモデル条項案として、以下の条項案を提示したいと思います。

契約不適合を理由とする損害賠償請求
 次に掲げる場合には、発注者は、同項の催告をすることなく、直ちに請負代金の減額または損害賠償を請求できます。但し、単に発注者が受注者に対する信頼を失った場合は、下記(1)(2)には該当しないものとします。

(1)修補が不能であるとき
(2)受注者が修補を行うことを拒絶する意思を明確に表示したとき
(3)本契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき

 改正民法では、履行(修補)に代わり、損害賠償を請求できる要件を、415条2項(モデル契約約款条項例第3項)で定めています。

 同項では、修補に代わる損害賠償請求権が認められるケースとして、(1)債務の履行が不能であるとき(1号)、(2)債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき(2号)、(3)債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき、と列挙しています(3号)。

 「債務の履行が不能であるとき」(1号)「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」(2号)には、発注者から受注者に対し、「別の業者に補修を依頼することにして、その補修費用を賠償請求する」という選択が可能となります。

 また、モデル契約約款条項例第3項但書にて「但し、単に発注者が受注者に対する信頼を失った場合は、下記(1)(2)には該当しないものする」という規定を設けています。

 これは、「建築請負人に工事の手抜きがある、あるいは技術が未熟であるなどにより重大な瑕疵が作られたような場合は、そのような注文者からの信頼を失った請負人に修補請求することは「債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能」と解し得る場面もあるのではないか、という論文があるため、このような場合を含まない旨を明示した規定としています。

新民法を機により良いEPC契約約款に

 以上、改正民法対応においては、単に「瑕疵」という用語を「契約不適合」に置き換えれば足りる、というものではありません。2020年4月の改正民法施行まで、まだまだ時間はあります。せっかく契約約款を修正するのであるから、今以上に使いやすいEPC契約約款を目指すとより良いと思います。

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