「未曾有の豪雨」が法的に重大

 土砂災害が生じた場合、各法(「砂防法」「地すべり等防止法」「急傾斜地の崩落による災害の防止に関する法律」及び「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」)に基づく事前規制を実施していなかったとして、行政の責任も検討対象となります。

 例えば、先述した静岡地裁・平成4年3月24日判決が「(1)急傾斜地の崩壊によって住民の生命、身体及び財産に対する法益侵害の具体的な危険が切迫し、かつ、県知事においてこれを予見することが可能であること、(2)県知事が、その権限を行使することによって、右のような危険ないし法益侵害を避けることができ、かつ、当権限を行使することが可能であること、(3)住民自らが急傾斜地の崩壊による法益侵害の発生を防止することが困難であって、県知事に右権限の行使を期待せざるを得ないという事情があること、以上のような要件が充足する場合であるにもかかわらず、県知事が右権限を行使しないときは、裁量権の不行使が著しく不合理なものとして違法と評価されることを免れない」と判示しています。

 土砂災害の法的責任については、「未曾有の豪雨等による不可抗力である」と言えるか否かが、法的には重大な意味を持つと思われます。

 もっとも「未曾有の豪雨」があるごとに「未曾有の豪雨」の水準は上がり、さらなる対策が求められます。ここには経済性と安全性の相克関係があり、悩ましい判断が生じます。この中では、社会的合意形成手続を十分に経て、責任の押し付け合いとならない政官民の真の協力が必要となるでしょう(図3)。

図3●豪雨によって地盤が流れたメガソーラー(本文の内容と直接、関係ありません)
(提供:中村満雄氏)
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