自家発電機の性能に関する思い込み

 現在、普及している太陽光発電システムのほとんどは、電力会社の電力系統と接続している「系統連系」です。従って、既述したように、商用電力が停電した場合、自家発電を行うためには、太陽光発電を手動で自立運転に切り替える必要があります。

自立運転用のコンセントの使い方
(出所:環境省発行の「太陽光発電の賢い使い方~停電・災害時の自立運転コンセントの活用」から引用)
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 一般消費者にとっては、「停電時でも安心して自家発電」というと、停電時にも即応して、間断なく自家発電で電力を賄えるかのような印象を持ちやすく、 上記のような切り替え操作が必要になることが、一般常識とまではいえないと考えます。

東京地裁の判例では原告の請求を認める

 本件のような事案に関し、参考となる裁判例として、東京地裁平成21年6月30日判決・平成19年(ワ)2493号があります。

 同裁判例は、病院理事長が設立した会社である原告が、エネルギーに関するコンサル業務を行っていた被告から、「自家用発電システムが常時無停電で稼働し、外部の商用電力が停電した際にも稼働を停止せずに発電を続ける性能を有するものである」との説明を受け、これを信じて同システムを病院に導入する契約を締結して、同システムの導入を被告に発注し、さらには別会社と発電機のリース契約を締結した。たが実際には、同システムにはそのような能力はなく、「商用電力の停電などにより発電機が停止した」として、被告に対し、原告が支出したリース料金の損害賠償を求めた事案です。

 同裁判例において、被告は、「発電機が自立運転をしている日中に限定して、停電しない旨の説明をした」と主張しました(自立運転中であれば、商用電力停止の影響を受けることはありません)。これに対し、裁判所は、自家用発電システムのパンフレットに、「安心の無停電システム」、「電力会社が停電となった場合、通常の常用発電機は停止しますが、当社の発電機は…(中略)…停電時も復電時も一切運転を停止しません」との記載があることなどの事実を摘示した上で、自家発電システムに関し、「実際の性能とは異なる説明をした」との事実を認定し、原告の請求を認容しました。