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FIT初期案件を購入、実は元土地所有者に無断で認定取得、どんなリスクが?

<第49回>所有者の同意なく設備認定を取得することの法的問題点

2019/03/28 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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 経済産業省は昨年12月、固定価格買取制度(FIT)の開始当初に認定を取得していまだに稼働していない「長期未稼働案件」に対し、買取価格の引き下げや運転開始期限の設定など、早期の稼働を促す措置を導入しました。これに伴い、滞留していた未稼働案件の権利売買や着工など、FIT初期案件を巡る動きが活発になっています。

 FIT初期の設備認定で、いまだに稼働していない案件のなかには、土地の利用に関わる手続きなどで、問題を抱えているものもあります。その1つが、事業用地の所有者に無断で、設備認定を取得しているようなケースです。

改正FIT法前に発生した問題

 2017年7月のFIT法の改正(以下、「改正FIT法」)によって、事業計画認定の申請をするに際しては、土地建物の使用権限を証明する文書の提出が必須となり(改正FIT法5条の2第2号)、今は発生しない問題ですが、改正FIT法の施行前は、設備認定を申請するにあたり、土地建物の使用権限を証明する文書の提出が求められていなかったことから、所有者の同意なく設備認定、系統連系を取得するといった問題(以下「本件問題」といいます)が生ずることがありました。

FITによる太陽光(10kW以上)の認定容量の推移。初期の認定には1つの土地に複数の認定が設定された例もあり、認定量急増の一因になった
(単位MW、出所:経産省・2018年12月公表資料を基に日経BP作成)

 「本件の問題」に気がついた土地所有者が設備認定、系統連系を取得した太陽光発電業者に取り下げを求めたところ、解決金の支払いを要求されるなど、理不尽な要求を受ける土地所有者もいました。

 さらに、本件問題が紛争に発展すると、太陽光発電業者から、(1)電力会社に対して太陽光発電の申請をする際に太陽光発電協会などに代行申請を依頼した際の費用の賠償、(2)電力会社に対して支払った工事費負担金の賠償、(3)不動産に太陽光発電を設置し、売電をした際の逸失利益の損害の賠償を求められるケースもあります。

 もとより、太陽光発電業者は、土地所有者に無断で設備認定、系統連系を取得したものであって、土地所有者が設備認定、系統連系の取り下げを求めることは土地所有権に基づく当然の権利であると言えます。

 この点、法的に評価すると、どうなるのか? について詳細に解説した書籍が見あたりませんので、今回、詳細に解説したいと思います。

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