所有権の「侵害行為」に

 民法第206条は「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と定めています。

 「所有権」は何人に対しても妨害を受けることなく主張しうるという性質(所有権の絶対性)及び所有権は物の使用・収益・処分という全面的支配を内容とするという性質(所有権の全面的支配性)を有します。

 土地所有者に無断で設備認定、系統連系を取得する行為は、土地所有者の使用収益を妨害し、違法に利益を得る所有権に対する侵害行為であり、所有権に基づく妨害排除請求権により、土地所有者は、太陽光発電業者に対して設備認定、系統連系の取り下げを請求することができます。

 改正FIT法の施行前は、設備認定を得るに際して、土地建物の使用権限を証明する文書の提出が求められていなかったとしても、上記所有権侵害を許容するものではなく、単に法律上文書の提出が要求されていなかっただけであり、“法の抜け穴”を利用した所有権侵害行為が許されることはありません。

土地所有者が損害賠償を請求されたら?

 それでは、土地所有者は、自分に無断で設備認定を得ていた太陽光発電業者からの損賠賠償に応じなければならないのでしょうか? この場合の損害には、(1)電力会社に対して太陽光発電の申請をする際に要した費用の賠償、(2)電力会社に対して支払った工事費負担金の賠償――などが考えられます。

 そもそも、太陽光発電業者は、土地の使用権原を取得しておらず、土地の利用に関しては無権限者となります。

 他方で、土地所有者は、無権限者による設備認定の取得行為により、同一の土地上で、当該認定による設備の廃止届が提出されない限り、太陽光発電事業の認定申請を行うことが不可能となり、同土地建物の利用が制限されることになります。

 無権限者が、土地所有者の所有権を侵害する行為をするにあたり、費用を支出したとしても当該費用を土地所有者に賠償請求できないことは当然であり、土地所有者は、太陽光発電業者からの(1)と(2)の賠償に応じる必要はない、という結論となります。