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住宅太陽光の点検要請への対応は義務でしょうか?(page 4)

<第48回>消費者庁「火災事故報告書」に関連したクレーム対応

2019/02/25 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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点検未実施が債務不履行に該当するか?

 上記の通り、改正FIT法によると、太陽光発電システム所有者は、「保守点検及び維持管理に係る実施計画を策定すること」が求められます。

 従って、一般の消費者であってもFIT法に基づき、売電をしている以上、太陽光発電システムについて点検を実施することが法的義務となるのです。

 そのため、太陽光発電機器の取扱説明書に1年目に無料点検、その後4年に1度有料の点検を受ける必要があると記載があるケースがあります。

 他方で、消費者の多くは、FIT法に基づく点検義務について「知らない」ケースが多く、この点、今回の点検実施の際に、消費者であっても自らが点検義務を負うこと(メーカーとの間で保守点検契約を締結すること)が法的義務であることを知り、点検対応を実施していく運用がなされることを期待します。

経年劣化による火災に法的責任は?

 消費者庁報告書によると、配線接続部の高抵抗化は、経年劣化や製造上の問題(製造時にはんだ強度が十分ではなかったなど)により発生すると考えられるとしています。

 この点、後者はメーカーの製品欠陥であると考えられますが、前者の経年劣化について、太陽光パネルを設置した住宅会社に法的責任が発生するか、について検討をする必要があります。

 請負契約における「瑕疵」とは、完成された仕事が契約で定めた内容どおりでなく使用価値もしくは交換価値を減少させる欠点があるか、又は当事者があらかじめ定めた性質を欠くなど不完全な点を意味し、当事者間の合意内容に適合しているかどうかが主位的に判断されます。

 東京地判(平成29年2月24日)は、マンションの外壁タイル落下事案について、発生していた、タイルの浮き及びクラックは、経年劣化の範囲内であるとして、「瑕疵」は存在しないと判断しています。部材等の性質・耐用年数などから、個別事案において、「通常持つと期待されている期間」を超えたものについては、劣化しないことが「契約で定めた内容」とはいえないため、経年劣化として、「瑕疵」には該当しない、という判断がなされるものだといえます。

 そのため、太陽光システムが耐用期間内であるにもかかわらず、火災が生じるような施工をした場合には、「契約で定めた内容」を満たしていないとして「瑕疵」に該当する可能性は否定できません。瑕疵に該当する場合は、瑕疵の補修を行う必要もでてきます。

 他方、例えば、モジュールの発火は、使用年数が7年以上の製品で起きており、経年劣化で内部の電気抵抗に異常が発生したために、電気が正しく流れずに事故に至ったとみられています。住宅用の太陽光システムの耐用年数は17年であり、耐用年数内であれば、当該年数内の経年劣化も考慮した上で設置するべきと言えるでしょう。

 そうすると、「鋼板等なし型」で太陽光パネルを設置しているケースでは、請負契約上の瑕疵に該当する可能性も否定できません。

住宅太陽光の被災例
(出所:消費者庁)
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