中部電気保安協会のアイデアから共同開発

 マルチ計測器が製品化した太陽光発電向けの直流の絶縁診断装置を使えば、日中に安全かつ正確に絶縁状態を診断できるという。「サージアブソーバーを外す」といった作業も不要で、絶縁不良の起きている箇所を特定できる。

 中部電気保安協会は、「発電を続けながら安全に点検でき、かつ、点検の作業を効率化できた」と評価する。

 この診断の方法は、従来の方法で問題となっていた「日中に太陽光パネルの発電が止まらず、電圧のない状態を作ることが難しい」ことを逆手に取っている。太陽光発電電力を利用して、絶縁状態を診断する(図2)。

図2●直流回路を大地と結び、太陽光発電電力を利用して絶縁診断する
マルチ計測器が実用化した装置による絶縁診断の概要(出所:中部電気保安協会)
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 接続箱内の入力端子のPとNの両極から、絶縁診断装置をストリングに接続し、さらに、アースとも繋ぐ。これによって、大地を通じた電気回路(地絡)を人為的に形成し、そこを流れる太陽光発電電力の電圧と抵抗から、絶縁抵抗を測定する。

 健全に発電している状態であれば、絶縁不良で漏電しているかどうかを確認でき、かつ、点検によって発電設備を損壊することもないとしている。

 実際の点検では、絶縁診断装置をストリングとアースに接続し、絶縁診断装置のスイッチをまずP極側に倒し、装置の内蔵抵抗に生じる電圧を計測する(動画)。次に、スイッチをN極側に切り替え、同じように計測する。

動画:絶縁診断装置の使用例(出所:マルチ計測器)

 ここで計測された電圧と内蔵抵抗から、絶縁不良が生じている極や場所、絶縁抵抗値を把握する(図3)。絶縁抵抗値が1MΩを下回った場所を不良と判定する。

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図3●絶縁不良の起きた場所を把握
絶縁抵抗値が1MΩを下廻った場所を不良と判定(上)。良否は点灯するランプの色でわかる(下)(出所:中部電気保安協会)

 絶縁不良が起きていない場合には、良好を示す緑色のランプが点灯する。逆に、不良箇所のある場合には、不良の有無だけでなく、「P極」「N極」「両極」「太陽光パネル間」のどこに生じているのかを、赤色のランプの点灯によって示す。

 絶縁不良の起きた場所が太陽光パネルの間だった場合、その場所も特定できる機能を持つ。何枚目と何枚目のパネルの間かを、表示画面のドットの位置で示す。

 この絶縁診断装置は当初、直流入力電圧が600V対応の発電システムを想定した機種「MSEI-100C」を製品化した。その後、1000V対応の発電システムが増えてきたことから、1000V対応の機種「MSEI-200C」も発売した。

 絶縁診断装置の価格は、19万5000円(税抜き)に設定している。これまで累計で約500台の販売実績があるとしている。