「シルバー人材」が朝夕に確認

 ヤギによる除草で課題となるのは、生き物を飼う以上、毎日、様子を確認する必要があること。そして、草のなくなる冬場の餌をどうするのか、という点だった。

 まず、日常の様子の確認に関しては、シルバー人材センターに依頼して、朝夕2回、現場を巡回してヤギの様子をチェックする仕組みにした。また、冬の餌に関しては、市販の干し草を購入して与えるようにした(図7)。

図7●冬用の餌には干し草を購入する
(出所:山梨県企業局)
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 予定外のアクシデントとしては、転倒による事故死のほか、野犬に噛まれたと見られる軽い怪我も見つかった。夜間の出来事と推測された。これを受け、シルバー人材センターに依頼し、担当者が夕方に見回った際、ヤギを小屋の中に追い込むことにした。これによって夜間は小屋の中で過ごすようになり、野犬の被害はなくなったという(図8)。

図8●小屋に入って過ごすヤギ。小屋には水と鉱塩(塩ブロック)を与える
(出所:山梨県企業局)
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 除草効果に関しては、2頭を放牧している6000m2のうち、草の成長を概ね抑えられるのは、約半分の3000m2程度になるという。今年9月に取材で現地を訪れた際には、ヤギの小屋に近いエリアは、草高が低く抑えられているものの、遠くのエリアはかなり草が伸びていた。ただ、それでもヤギがまったく入らない他の法面にはツル性のクズが繁茂しているのと比べ、ヤギの入る法面にはほとんどクズは見られなかった。

 「全体を満遍なく食べて欲しいものの、ヤギは同じエリアの草を繰り返し食べる習性があるようで、除草効果は場所によって偏ってくる。臭いの強い草種は好まないが、概ねほとんどの草を食べる。特にクズなどツル性植物を好み、ニセアカシアといった草本類の芽も食べている」(山梨県企業局)という。

 除草効果を6000m2全体で高めるには、頭数を3~5頭に増やすことも考えられるが、企業局の役割としては、実証的な側面が大きく、ヤギ除草の実際を展示することが目的のため、これ以上、増やす予定はないという。